2017 Fiscal Year Research-status Report
上肢浮腫における浅部・深部リンパ管解剖研究とその障害機序の解明
Project/Area Number |
17K17018
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
越宗 靖二郎 岡山大学, 大学病院, 医員 (60600559)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 上肢リンパ浮腫 / インドシアニングリーン / 蛍光リンパ管造影 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、上肢リンパ管解剖研究とリンパ浮腫患者の臨床所見から、詳細なリンパ管ルートとその障害部位を明らかにすることで、浮腫の病態を解明し臨床へ応用することを目的としている。 今までは解剖体において1本のリンパ管を直視下で確認しカニュレーションすることでリンパ管造影を行ってきたが、ICG-LGを解剖体で行う事ができたため、非常に時間と労力・コストの削減が可能となった。 平成29年度は、まず解剖体に対してインドシアニングリーン蛍光リンパ管造影法(ICG-LG)を用いて上肢リンパ管の同定・造影し、計100肢を検査した。このことから正常の上肢浅部リンパ管の走行のマッピングを行うことができた。また、同時に臨床検査においては上肢リンパ浮腫患者に対してICG-LGを行い、様々な浮腫時期の患者の様々なリンパ管走行の異常を検査している。その結果、今のところ尺側背側ルートが主に残存しやすく掌側ではリンパ管の障害が強い傾向を認めている。これら解剖体と臨床検査の所見から上肢浅部リンパ管において走行や特徴から今までにないICG-LG分類を作成できるのではないかと考えられる。現時点では、上肢において、手背と掌側、さらに尺側と橈側にわけてリンパ管の分類を行っている。その分類が今後の治療方針や早期リンパ管障害の発見に繋がる可能性がある。 また、CTを用いたリンパ管造影(CT-LG)は下肢で先行研究を共同研究者の品岡らが行っている。まだプロトコールが定まっていないため、上肢では試験的に1例のみCT-LGを施行している。CT-LGでの知見がさらに分類や診断の正確性や深みを増す有意義な情報と予測される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画どおり、平成29年度で新鮮解剖体100肢に対してインドシアニングリーン蛍光リンパ管造影(ICG-LG)を行った。また同時に臨床においても上肢リンパ浮腫を発症している患者に対して定期的にICG-LGを行い、検査・浮腫の評価を行っている。解剖体に対するCTリンパ管造影検査は1肢のみで行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
解剖体に対するCTリンパ管造影(CT-LG)はまだ1肢しか施行していないが、先行研究である下肢でのCT-LG検査プロトコールが定まってから行う予定であり、今年度に遂行出来ると予測される。また、臨床検査は定期的に行っており、有用な臨床所見や情報を集積出来得る。解剖体と臨床所見とのさらなる詳細な対比と検討が可能と考える。
|
Causes of Carryover |
今年度は1例のみであった解剖体によるCTリンパ管造影を次年度で行うこと、学会発表や論文作成のため経費やデータ化のための解析ソフトの購入に助成金を当てる予定である。
|