2018 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性創傷炎症制御miR-129ファミリーによる新規分子標的治療薬開発への展開
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17K17021
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
梅原 敬弘 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (60617421)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖尿病性創傷 / 好中球 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病(DM)患者の創傷治癒は遅延し、難治性皮膚潰瘍になることが知られている。糖尿病性創傷治癒遅延の要因として、創傷部への好中球の過剰な動員や集積による炎症の長期化が報告されているが、その分子メカニズムは未だ明らかではない。 microRNA(miRNA)は、分子標的治療薬などの新規治療薬開発への有用性が非常に高いことで注目されており、標的 mRNA に結合することでその発現を制御し、蛋白質合成を阻害する。近年、生体内の炎症過程における miRNA 機能の重要性が明らかとなっている。従って、糖尿病性皮膚創傷の治癒過程における炎症制御への miRNA の関与が推察される。 そこで申請者らは、miRNA を中心とした階層的遺伝子発現制御機構の解明を目的として、独自に抗Argonaute2(Ago2)抗体を用いた免疫沈降法による成熟 miRNA を精製し、Microarray を用いて、DM由来好中球特異的に発現する多数の炎症関連 miRNA を同定した。さらに、炎症関連 miRNA 発現制御による創傷治癒促進効果を検討するために、DMモデルマウスの背部に生検トレパンを用いて4 mm径の創傷を作製した。次に、Pluronic gel アンチセンスオリゴ(AS ODN)デリバリーシステムを用いて、皮膚欠損創を作製したDMモデルマウスに miRNA mimic を直接投与し、非投与のDMモデルマウスとともに、各経過時間(0, 1, 3, 7, 10,14日)において、創傷治癒過程を肉眼的に観察し、創傷閉鎖率を計測したところ、miRNA mimic を投与した創傷部において、治癒の促進が認められた。さらに、免疫組織化学検討により、好中球の創傷部における集積が改善したことを明らかにした。従って、炎症関連 miRNA は、DM由来好中球の機能異常に関与しており、糖尿病性創傷治癒遅延は、炎症関連 miRNA に制御される遺伝子群によって惹起された可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた実験は、6割程度の進展であったが、来年度に予定していた実験の一部を行うことができたため、概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症関連 miRNA が標的とする炎症制御に関与する遺伝子群(キー遺伝子)の同定及びアンチセンスオリゴ(AS ODN)を用いたキー遺伝子発現制御による創傷治癒促進効果を肉眼的・分子生物学的・免疫組織化学的手法を用いて検証する。 circular RNA(circRNA) は直鎖 pre-mRNA が通常のスプライシングが逆方向で行われることによって合成される。circRNA は、miRNA のスポンジとして機能することが知られている。従って、circRNA は、炎症制御のメカニズムに関与する miRNA 発現制御への関与が推察される。そこで、Microarray を用いてDM由来好中球特異的に発現する circRNA の同定を行い、炎症関連 miRNA との相関を検討し、炎症制御における circRNA・miRNA・mRNA の分子相関メカニズムを解明する。
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