2017 Fiscal Year Research-status Report
リンパ浮腫脂肪組織における免疫細胞解析による病態解明と免疫機能再建外科治療の確立
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17K17040
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
田代 絢亮 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, がん専門修練医 (20622070)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 / 免疫細胞 / 脂肪由来間葉系幹細胞 / ADSC / エクソソーム / リンパ管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
先進国においては、悪性腫瘍切除後の二次性リンパ浮腫が増加しており、その病態生理の解明と新たな治療法の確立が求められている。私たちはこれまでの一連の臨床・研究活動を通して、リンパ浮腫組織におけるリンパ管の変化・脂肪細胞の変化・間質細胞の変化などを、世界に先駆けて明らかにしてきた。これらの研究成果を踏まえ、本研究では、リンパ浮腫組織における免疫細胞の作用に着目し、免疫細胞がどのようにリンパ浮腫の病態生理に関わっているかを明らかにすることを目的としている。 リンパ浮腫脂肪組織における免疫細胞、特にマクロファージに着目して、リンパ浮腫の重症度とマクロファージ浸潤の関係を明らかにした。また、M1、M2マクロファージという違いが、リンパ浮腫の病態とどのように関係しているかも明らかにすることができた。 また、臨床サンプルを用いた解析のみならず、リンパ浮腫治療法として脂肪由来間葉系幹細胞(Adipose derived stem cell: ADSC)に着目して、ADSCがリンパ管新生作用を持つかどうかをvitroにて評価した。我々は、特にADSCのエクソソームに着目し、まずエクソソームをADSC培養上清から単離し、エクソソームであることを、Nanotrackingによる粒子径の測定や、Western blottingにより確認した。 次に、ADSCのエクソソームがリンパ管新生作用を持つかどうかをProliferation assay、Migration assay、Tube formation assayの3つのassayにより確かめた。その結果、Proliferation assay、Migration assay、Tube formation assayで、エクソソーム群でコントロール群と比べ、vitroでのリンパ管新生の亢進作用が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リンパ浮腫臨床検体の採取が順調に行かず、臨床検体を用いた実験の進行が遅れている。これには、倫理委員会の申請に時間がかかったことや、主研究者が年度途中に移動となったことが関係している。 その分、Benchで行うことのできる、vitroの実験が進む結果となっている。vitroの実験系では、リンパ管新生を示すADSCのエクソソームの作用が明らかになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、倫理委委員会の申請は終わっており、今後、臨床検体を集めることで、リンパ浮腫脂肪組織の免疫細胞の解析が進む予定である。また、vitroで明らかとなったADSCエクソソームのリンパ管新生作用につき、今後vivoでの検討を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度において、臨床検体の集まりが悪く、臨床部分の研究計画を十分に進められなかった。次年度においては、倫理委員会の申請も終了しており、臨床検体が集まる予定である。それに応じて、研究計画が進むと考えられる。
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