2019 Fiscal Year Annual Research Report
The analysis of the influence of the gut microbiota change in severe emergency patients on systemic and intestinal immune system.
Project/Area Number |
17K17049
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小島 将裕 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (70721091)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / 免疫 / 集中治療 / 救急 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの腸内には多種多様な細菌が多数存在し、各個人特有の腸内細菌叢を形成している。腸内細菌叢は腸管内の免疫組織と相互作用を持ち、ヒトの免疫能と重要な関連があることが近年注目されている。一方で、重症患者では腸内細菌叢が急性期に急激に変化し、およそ1週間後には新たな安定した腸内細菌叢に変化していることが明らかとなっている。しかし、重症患者での腸内細菌叢の変化と免疫能の変化との関連は明らかではない。本研究では腸内細菌叢の変化は便中エンドトキシンの定量測定を行い、免疫能の変化は腸管免疫の指標として便中IgAおよび生体免疫能の評価としてリンパ球サブセットの解析を行い検討した。8症例を検討したところ、便中IgAが多い時は便中エンドトキシンが低値であり、両者に負の相関があることが明らかとなった。また、リンパ球サブセットのCD4/CD8比が高い場合は便中IgAが高く、便中エンドトキシンが低い傾向にあることが明らかとなった。制御性T細胞(Treg)と便中IgAには有意な相関がみられなかった。また、治療でメロペネムを使用していた3症例はCD4/CD8比が高く便中IgAが高い傾向にあり、下痢も多かったことも明らかとなった。これらの結果から、メロペネムを使用するような重度の敗血症では免疫能の亢進があり、便中IgAが高値となり、大腸菌を代表とした腸内細菌叢を攻撃して繁殖を抑制し、さらに腸管壁にもダメージを与えることで下痢が生じている可能性があることが示唆された。従来より、重症病態では下痢が起こりやすいことが知られていたが、本研究によりその原因の一端が明らかとなった可能性がある。
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