2018 Fiscal Year Research-status Report
重症呼吸不全患者の気道および血液検体を用いた多角的病態解明および新規治療法開発
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17K17053
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田邉 優子 広島大学, 病院(医), 助教 (60793445)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺炎 / 原因菌 / 次世代シークエンサー / 消化管細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
呼吸不全の原因となる微生物は、細菌、ウイルス、真菌など多岐に渡る。従来の培養検査などでは病原微生物の検出に至らない症例が多く認められる。また、嫌気性菌は培養困難であり、一定量の嫌気性菌が存在しても培養検査で検出できない可能性がある。次世代シークエンス手法を用いた解析では、培養検査では検出できない嫌気性菌を検出可能であった報告もあり、次世代シークエンス手法は病原体検出目的のため、有用な手段であることが示唆された。具体的な手法としては、細菌は16srRNA遺伝子内に可変領域が存在している。その部分の遺伝子配列を網羅的に解析することで細菌の特定が可能となる。ウイルスについてはDNA・RNAの遺伝子配列を解析する。本研究では次世代シークエンス技術を用いた、原因微生物の検索が目的であった。検体の集積については2017年度を通じて着実に集積することが可能であり、目標の検体数はほぼ達成された。2018年度では収集した血液、肺胞洗浄液検体を用い、細菌の次世代シークエンス法による網羅的解析を行う手法を確立した。一方で、ウイルスに関しては、固有領域がなく、次世代シークエンス法による網羅的解析を模索したが、方法の確立は困難であった。さらにARDS患者において、肺胞洗浄液中の細菌のメタゲノム解析を行ったが、病原微生物の特定は困難であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細菌の次世代シークエンス法による網羅的解析を行う手法を確立した一方で、ウイルスに関しては、固有領域がなく、次世代シークエンス法による網羅的解析を模索したが、方法の確立は困難であったことが原因として考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ウイルスの次世代シークエンス法による網羅的解析は困難であった。しかしARDS発症に消化管の細菌の関与が疑われているため、今後は肺胞洗浄液と便の細菌叢を解析し、ARDSと消化管細菌叢との関連性を検討していく。
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Causes of Carryover |
ウイルスの次世代シークエンス法による網羅的解析は困難であり、ウイルス解析にかかると見込んでいた費用に余りが生じた。今後は肺胞洗浄液と便の細菌叢を解析し、ARDSと消化管細菌叢との関連性を検討していく予定であり、そちらの費用に使用させて頂きたい。
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