2022 Fiscal Year Annual Research Report
Is lactate production in sepsis induced by adrenaline?
Project/Area Number |
17K17058
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
文屋 尚史 札幌医科大学, 医学部, 助教 (50721586)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳酸 / 敗血症 / 嫌気性代謝 / ストレス反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症における乳酸値の増加は、敗血症死亡と有意に相関する独立した予後予測因子である。これまで敗血症における乳酸値の上昇は嫌気性代謝によりもたらされると説明されてきたが、この嫌気性代謝による乳酸上昇には疑問がある。乳酸上昇には生体内アドレナリン分泌によるβ刺激が関与している可能性が示唆されている。アドレナリンは副腎で生成され分泌されるため副腎を摘出すればアドレナリンの分泌が生じなくなり、乳酸の上昇が軽微であると考える。本研究の目的は「敗血症の独立した予後予測因子である乳酸上昇は、これまで言われてきた嫌気性代謝によるものではなく、ストレス反応としてのアドレナリン分泌により誘導される」ことを証明することである。
本研究では、ラットを用いて上記証明を試みている。まずアドレナリン産生がなされないよう両側副腎を摘出する。その後、尾静脈より静脈路を確保し、大腿動脈に動脈ラインを挿入し持続的な血圧測定、採血ラインとした。吸入麻酔でラットを麻酔し、酸素飽和度が維持されるよう調整する。敗血症は盲腸結紮穿刺し誘導した。コントロール群として、副腎を摘出しない群を設ける。両群を比較し、アドレナリンの値により乳酸値に差があるのかどうか、その際に低酸素があるかどうかを観察し、敗血症の乳酸上昇がアドレナリンと関与を示すのか、酸素分圧、血圧・脈拍と関連があるか比較・検討する。
両側副腎摘出後に生存敗血症モデルの作成に苦慮している。現在、背部より両側副腎を摘出し生存させることは可能となったが、その後の敗血症導入時に死亡してしまい対照群と同条件での比較に難渋している。数匹の成功検体から、アドレナリン値を分析中であり、測定した乳酸値と比較するところである。今後も本研究を継続し、生存モデルを安定させ、更に検討対象数を増やし、酸素飽和度、血圧・脈拍が同条件におけるアドレナリンと乳酸の関係性を明らかにしていく。
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