2020 Fiscal Year Research-status Report
ARDS,敗血症性多臓器不全に対する細胞種特異的なPHD2阻害による治療戦略
Project/Area Number |
17K17063
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
柏木 静 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (20596150)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 敗血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はVillin Cre-ERT2マウスとVHL flox/floxマウスをかけ合わせ,タモキシフェン投与下に腸管上皮細胞特異的にVHLがノックアウトされる遺伝子改変動物の構築を行った。4日間の経口タモキシフェン投与を行った後にさらに5日後の時点で,腸管組織においてVHLのmRNAがほとんど発現していないことを確かめることができた。しかしながら,ウェスタンブロットによる検討ではタンパクレベルでのVHL発現低下が明らかではなかった。また,VHL下流の低酸素誘導性因子(HIF)およびHIFによって制御されるVEGF,GLUT-1といった遺伝子群の発現にもばらつきが見られたことから,タモキシフェン投与後どの程度の時間がたった段階でVHL-HIF経路の活性化が見られるのかを,経時的な検討を行うことで明らかにする必要があると考えられた。一方で,これらのマウスにおいて明らかな臓器障害マーカーの増加は認めないことを確かめることが出来た。 また,半透膜上でのヒト腸管上皮細胞株Caco-2単層培養系における蛍光デキストランの透過性を評価する実験では,サイトカイン投与によって,わずかな透過性亢進が見られた。しかしながら,敗血症による腸管の低灌流を模した低酸素暴露では明らかな透過性の変化は認められなかった。以上からCaco-2培養細胞系において敗血症による腸管傷害を模した実験系を構築するためには,他の傷害因子を含めた刺激による検討が必要だと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子改変マウスの作成,確立に時間を要しているため,研究の進捗が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
細胞株を用いた実験系において敗血症による腸管傷害を再現することが難しいと判断されることから,動物モデルを用いた検討を行う。今年度はVillin Cre-ERT2:VHL flox/floxマウスにおける腸管上皮傷害について検討を行い,一定の結論を得たいと考えている。
|
Causes of Carryover |
目的の遺伝子改変動物を用いて敗血症動物における腸管傷害に与える影響を検討することが出来なかったため,次年度使用額が生じた。本年度はほぼ遺伝子改変動物が完成していることから,それを用いた検討に研究費を用いる。
|