2017 Fiscal Year Research-status Report
小児多数傷病者に対応可能な緊急度判定ツールの開発研究
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17K17064
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
問田 千晶 横浜市立大学, 医学部, 助教 (30632632)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 災害医学 / 小児 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:大規模災害時に小児に適用可能な新たな二次トリアージ基準(Pediatric Physiological and Anatomical Triage Score; PPATS)を策定し, 新基準と既存の基準(PAT, TRTS)のトリアージ精度を比較すること. 方法:2014年から2016年3月31日に, 横浜市立大学付属市民総合医療センター高度救命救急センターに搬入した16歳未満の小児を対象とした. PPATSは, 生理学的徴候(呼吸数, 心拍数, 収縮期血圧, 意識レベル)・解剖学的異常所見の有無・医療的介入の有無の6項目を1-4点で評価し, その合計点に基づき緊急度を判定する基準とした. 生理学的徴候は, 小児の年齢ごとの正常範囲に基づき評価した(American Heart Association, 2012; Fleming et al., 2011).診療録にもとに後方視的観察研究を実施した. 結果:PATまたはTRTSと比べて, PPATSは高精度であった [PPATS; AUC 0.95 (信頼区間0.87-1.00) 対 PAT; AUC 0.65 (0.58-0.72), p < 0.01] [PPATS; AUC 0.95 (0.87-1.00) 対 TRTS; AUC 0.79 (0.69-0.89), p = 0.03].PPATSの合計点とICU入室時の予測死亡率(r2 = 0.139, p < 0.001), 人工呼吸期間(r2 = 0.320, p < 0.001), ICU滞在期間(r2 = 0.362, p < 0.001), 入院期間 (r2 = 0.308, p < 0.001) は相関していた. 結語:既存の基準よりも高精度な, 小児二次トリアージ新基準を策定できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一に, 小児へ適用可能な災害二次トリアージに関して、本邦で普及している既存の二次トリアージ基準と比べ, 精度の高い新基準を策定することで、当該年度の開始前に計画した研究目標を達成することができた点. 第二に, 研究成果を国際学術雑誌で発表し, 新トリアージ基準の妥当性を学術的に証明することができた点.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に彫られた研究結果をもとに、小児緊急度判定スコアの算定式(新・小児二次トリアージ基準)の更なる精度向上を測る。 具体的には、新たな対象群を設定して新基準のトリアージ精度を検証することで課題を明らかにし、基準の改良とともに完成版を作成する.
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Causes of Carryover |
当該年度にアプリケーション開発費用として計上していた支出額の支払いが、翌年度に支払われる予定であるため。 当該年に予定していた国内調査を翌年度に行うことになったため、翌年度分として使用する予定である。
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