2017 Fiscal Year Research-status Report
敗血症をはじめとする重症患者に対する免疫制御血液浄化システムの開発
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17K17071
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
原 嘉孝 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (30596812)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 活性化顆粒球 / 臓器障害 / 敗血症 / 免疫制御血液浄化システム |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症など活性化顆粒球が深く関わる病態に対する新しい治療法として、我々は顆粒球除去カラムであるアダカラムとサイトカイン吸着hemofilterであるAN69STを組み合わせた免疫制御血液浄化システムの開発を進めている。アダカラムによる活性化顆粒球の吸着は、補体やMac-1レセプターを介するため、サイトカインの産生が懸念され、ex vivoの研究でも確認されている。本研究では、(1)敗血症モデルの確立、(2)免疫制御血液浄化システム施行中の血液流量の違いによる血球吸着能の変化、(3)免疫制御血液浄化システム施行中のサイトカインの評価の検討を行った。 まず(1)として、Actinobacillus pleuropneumoniaeを麻酔下のブタに気管投与する計画を立てた。数頭行ったが、モデルの確立まで至らなかった。そこで、Lipopolysaccharide(LPS)を静脈投与する敗血症モデルに変更した。その結果、サイトカインの上昇・バイタル変化・エンドトキシン濃度が上昇した。これらの結果より、LPSによるブタ敗血症モデルの確立ができた。 (2)では、異なる血液流量(Qb)で、好中球の除去効率が最大化するQbを検討した。結果は、好中球の吸着率はQb増加で低下し、クリアランスはQbが60ml/minの時に最大となった。Qbが大きいと吸着反応が低下すると考えられた。単球のクリアランスはQb増加につれて増大した。個体数が少なく白血球数のばらつきが大きいため、解釈には慎重を要するが、好中球の除去効率が最大化するQbは30-60ml/min程度であると考えられた。 (3)では、血液流量の違いによるサイトカインの変化率に差はなかった。n数が少なく評価には慎重を要するが、アダカラム通過によるサイトカイン産生は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ほぼ研究計画どおりに進行している。まだn数が少なく、統計学的に意義のある検討数に達していない為、次年度の研究計画と並行しながら進めていく。 次年度行う予定であったサイトカインの測定を本年度行うことができ、研究計画にも大幅な変更は必要ないと考えていることから、概ね順調と考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
ブタの敗血症モデルの確立ができたので、次年度は引き続き研究を継続し、サンプルの測定・解析を行う。次年度新たに行う検討として、顆粒球貪食能と接着能の評価を行う。回路内の、一次カラム通過前から血液サンプルを採取し、フローサイトメトリーにより時間経過毎に評価する。開始直後、開始 30 分後、60 分後、120 分後、180 分後、240 分後、360 分後の計 6 ポイント毎に評価する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、本補助事業期間である平成29~30年度の助成金交付予定額に従って申請した平成29年度科学研究費助成事業交付申請書に準じて、補助事業を誠実に遂行し交付金を適正に使用した結果、生じたものである。次年度に使用することによって、より研究が進展することが見込まれる。 次年度は、ブタの購入、消耗品の購入、共同利用機器の使用料に使用する。 例)FACS解析用抗体各種、各種濾過膜、白血球除去カラム、回路代、 試薬;LPS、PBS、FBSなど
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