2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K17086
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐々木 宗輝 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10706336)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リン / 骨細胞 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
リンは生体に必須の元素で老化の加速因子と考えられるが、骨細胞に対する老化作用は不明である。老化は慢性腎疾患を増加し、高リン血症を惹起して骨折のリスクを増大させるが、わが国が直面する未曽有の超高齢社会では骨折予防が重要な課題である。一方オートファジーは、細胞内小器官や蛋白質を分解する自食作用と定義されるが、オートファジーが骨細胞に与える影響は分からない。本研究は、「リン」、「骨細胞」、「オートファジー」に着目し、リン濃度が骨細胞のオートファジー機能に与える影響を検索して骨細胞の老化メカニズムを明らかにすることを目的とした。 細胞老化にはリンが関与するため、高リン食(P:1.73%、Ca: 0.58%)、低リン食(P: 0.2%、Ca: 0.6%)、コントロール食(P: 0.6%、Ca: 0.6%)を生後3 週齢の野生型マウスに1~4 週間与えて血中リン濃度を管理して骨組織に与える影響を比較解析した。その結果、高リン食を与えられた群においては、低リン食群やコントロール群と比較し小さく、さらに老化現象と思われる現象が確認された。一方、低リン食を給餌された群では、著名な外見上の変化は認められなかった。さらに各個体から採取した大腿骨は脱灰し、パラフィン包埋を行い観察を行い、脛骨はマイクロCTにて解析を行った。 各種リン濃度で管理されたマウス骨細胞におけるオートファジーの活性を確認するためTEM を用いてオートファジーの特徴であるオートファゴソームの観察を行った。TEMによる通常の観察において、骨細胞内のオートファゴソームが観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、リン濃度を変化させた飼料を用いることでマウス老化現象とオートファジーについて研究を行った。リン濃度の変化がマウスの成長に影響を与えることが分かり、klotho欠損マウスが表す表現型と類似していた。今後は、免疫組織化学的な手法を用いて解析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
TEMによるオートファジーの観察については、今後免疫組織化学を取り入れた、免疫電顕を行いオートファジー関連タンパク質の細胞内における局在を解析する予定である。これは、骨のほかに、リン代謝に関連の深い腎臓、オートファジーの働きが活発な臓器として知られる肝臓も観察の対象として含まれる。さらに凍結保存した臓器は、ウェスタンブロットを用いてタンパク質の発現を定量解析する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、平成29年度に免疫電顕まで行う予定であったが、TEM観察に際して時間を要したため免疫電顕は平成30年に行う予定となった。それに伴い、免疫電顕で使用する抗体等の購入が遅くなったため購入時期にずれが生じ、使用額に差が生じた。研究の進行については問題ない。
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