2017 Fiscal Year Research-status Report
An investigation into the formation processes of collagen bundles in periodontal ligament by innovative imaging methods
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17K17090
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
平嶋 伸悟 久留米大学, 医学部, 助教 (70647784)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イメージング / FIB/SEM / 3次元微細構造解析 / 電子顕微鏡 / 歯根膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯根膜形成過程の解明を目的に、本年度はFIB/SEMを基軸に解析を進め、次年度以降の研究の準備を行った。 まず、正常歯根膜における解析を行った。その結果、正常な歯根膜線維において水平線維群、斜走線維群、根尖線維群では線維束の形態が異なり、水平線維群は網目状構造で分岐を複数持っているが、斜走線維群、根尖線維群ではロープ状形態で分岐が少ない。また、その断面の直径・面積は水平線維群と斜走線維群、根尖線維群とでは有為な差がみられた。これらの結果は、論文としてまとめ、英文誌へ投稿中である。 次に力学的負荷を変化させたモデルマウス(C57BL/6を使用)を作成し、解析した。モデルマウスは観察対象歯(下顎第一臼歯)の対合歯の削合もしくは抜去をし、咬合圧を除去し、歯全体に力学的負荷がないものである。得られたデータを解析ソフトを用いて、観察部位別に解析し、線維と細胞の3次元再構築を行った。解析項目は細胞の体積、表面積、比表面積、異方性、偏平率、伸展度、さらに歯根膜線維束の形態・配列、硬組織への穿孔角度、細胞間ネットワークの特徴、1細胞のコンタクト数、コンタクト面の面積等で現在各項目の解析を進めている。 以上の研究結果については各学会で報告してきた。 さらに、歯槽骨を含めた歯根膜の深部組織観察・ライブイメージング観察のため、観察装置の開発・予備的研究(サンプル調整・固定・染色・組織等透明化法の選択・実験器具の改良)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FIB/SEMを用いた歯根膜に関する研究は過去にない。申請者の研究により、正常歯根膜では水平線維群、斜走線維群、根尖線維群では線維束の形態が異なり、また、その断面の直径・面積は水平線維群と斜走線維群、根尖線維群とでは有為な差があることがわかった。この結果をまとめ、現在英文誌へ論文投稿中である。また、歯根膜の力学的負荷を変化させたモデルを作成し、これまでの知見を基に歯根膜細胞および歯根膜線維束の3次元微細形態の解析を行っており、力学的負荷が変化すると歯根膜細胞は細胞性ネットワークを維持したまま、形態変化をする可能性が示唆されている。これらの結果はこれまでの手法だけでは解析が困難なものであり、これまでの歯根膜に関する知見を深め得るものであると考える。 さらに、歯槽骨を含めた歯根膜の深部組織観察・ライブイメージングため、観察装置の開発を行い、サンプル調整の方法等の問題点を把握した。次年度もさらなるデータの蓄積を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
深部組織観察法により、力学的負荷の変化に伴う細胞間ネットワークと歯根膜線維の変化を明らかにし、線維改変時の細胞の発現分子の変化を分子機能形態学的に解析する。 共焦点レーザー顕微鏡では組織の浅い部分(数十μm)までの観察に限られるが、多光子励起顕微鏡を用いることで深部組織(1~6mm)までの観察が可能である。さらに組織透明化技術を併用することで、より鮮明な深部の画像の取得・解析ができる。歯根膜線維の観察には第二高調波発生(SHG: second harmonic generation)を併用する。SHGを用いると生体内のコラーゲンを選択的に観察できる。前述のモデルマウスを使用し、灌流固定・サンプル採取後に深部組織観察法により、広範囲で力学的負荷の変化に伴う歯根膜線維の変化、歯根膜細胞間ネットワークの線維形成に関わる発現分子の3次元的な局在と変化を明らかにする。また、線維改変時に細胞間ネットワークに協調的な働きがあるかを調べる。また、ライブイメージングの開発・研究は前年度より引き続き行う。
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Causes of Carryover |
(理由)平成29年度は学会出張等に関する旅費および論文投稿費等を支出しなかったことにより、次年度使用額が生じた。 (使用計画)以下に記載した通り、平成30年度は論文投稿や試薬の購入、学会出張を行う予定である。1:論文投稿を現在行っており、英文校正費や投稿費が必要となる。2:平成30年度実験計画に必要な試薬(抗体等)の購入を予定している。3:国内外の本研究に関する学会出張を予定している
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Research Products
(5 results)