2017 Fiscal Year Research-status Report
抗炎症作用を有する新規ビスホスホネートの歯科矯正用アンカースクリューへの応用
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17K17091
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
滝澤 愛子 東北大学, 歯学研究科, 助教 (70754969)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ビスホスホネート / 抗炎症作用 / 抗酸化作用 / アンカースクリュー |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究により、卵巣摘出により骨量が減少したラットにMPMBPを投与した結果、骨量が増加するとともに骨の機械的性質が改善されることが明らかになっている。今回の研究では12週齢雌性Sprague-Dawleyラットに1日1回、7日間にわたり、MPMBP(1.2および6.0mg/kg:各群10匹)あるいは0.9% NaCl (コントロール群、10匹)を皮下注射し、MPMBPの正常ラットへの投与が、脛骨の骨形成にどのような影響を検討した。実験開始前後に蛍光骨標識を行ない、屠殺後micro-CT 解析ならびに非脱灰切片を作成し、HE染色および免疫染色を行った。その結果、正常なラットへのMPMBP投与は、脛骨骨幹端部の骨量と骨密度を増加させ、成長板直下の一次骨梁部においては2本の骨標識線間の幅に有意差はなかったが、緻密な骨が用量依存性に増加しているのが認められ、標識線の蛍光強度が増加していた。さらにmicro-CT解析の結果、骨幹端部の海綿骨密度および機械的強度のパラメーターが増加し力学的強度が有意に増加していた。一方、骨幹部皮質骨の骨膜性化骨部位における標識線間の幅は、MPMBPにより増加傾向を示したが、有意差は認めなかった。骨幹端部におけるカテプシンK陽性細胞の数は有意に減少しており、骨吸収系が抑制されていることが示唆された。MPMBPは骨形成と骨吸収のバランスを正に転化させ、OVXラットへの投与と同様、骨量と骨密度を増加させ、骨の機械的強度を増加させることが確認された。(学会発表2017年10月18日 新規ビスホスホネートMPMBPがラット骨形成に及ぼす影響 Effects of a novel bisphosphonate MPMBP on bone formation in rats.第76回日本矯正歯科学会 札幌芸文館 抄録10046)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成長の終了した12週齢の正常モデルラットを用い、MPMBPを皮下に注射し全身投与に及ぼす影響の研究において、特に実験動物数が多いため(n=10)予想より解析に時間を要した。 今後研究予定である、ラット用アンカースクリューを口蓋に植立し、MPMBP をアンカースクリュー骨接合部にコートした場合としない場合についての効果につての実験は現在準備段階である。スクリュー埋入方法の確立のためトルクやスクリューのサイズ、種類について可能な限り臨床と相関が持てるよう、セミナーで情報収集を行う他、文献や書籍による情報収集を行なっており、研究段階としては概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivo において、試作したラット用アンカースクリューを口蓋に植立し、MPMBP をアンカースクリュー骨接合部にコートした場合としない場合についての効果について。 <表面のコーティング> ビスホスホネートのコーティング法としては、文献的には、ハイドロキシアパタイトへの結合力を利用して、ハイドロキシアパタイトでコーティングして結合させる方法が主であるが、その他に、カルシウムイオン注入によるパミドロネート(Kajiwara 2005 年)、ハイドロキシアパタイトコーテティングとカルシウムイオン注入の併用によるパミドロネート(Yoshinari 2002 年)、ポリ(D,L)乳酸基質によるゾレドロネート(Greiner 2007 年)、電解蒸着によるエチドロネート(Duan 2004年)などの報告がある。本研究ではもっとも主流であるハイドロアパタイトでコーティングして結合させる方法を用いるが、うまくいかない場合は他の方法についても予備実験の際に比較検討を行う。 <動物とμCT解析、力学的解析> 成長終了した12 週齢の正常ラット口蓋に、全身麻酔下で、試作した小型アンカースクリューを植立する。経日的に上顎骨を解析し、生きたままμCT解析 を用い、各パラメーターについて定量評価を行い、顎骨への影響と経時的変化を調べる。摘出した上顎に植立した状態でアンカースクリューの引っ張り強さ、また撤去時のトルクの大きさについて測定する。
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Causes of Carryover |
in vivo において、試作したラット用アンカースクリューを口蓋に植立し、MPMBP をアンカースクリュー骨接合部にコートした場合としない場合についての効果についての実験を行うため。使用計画は、ビスホスホネートのコーティング法としては、文献的には、ハイドロキシアパタイトへの結合力を利用して、ハイドロキシアパタイトでコーティングして結合させる方法が主であるが、本研究ではもっとも主流であるハイドロアパタイトでコーティングして結合させる方法を用いるが、うまくいかない場合は他の方法についても予備実験の際に比較検討を行う。また、成長終了した12 週齢の正常ラット口蓋に、全身麻酔下で、試作した小型アンカースクリューを植立する。経日的に上顎骨を解析し、生きたままμCT解析 を用い、各パラメーターについて定量評価を行い、顎骨への影響と経時的変化を調べる。さらに摘出した上顎に植立した状態でアンカースクリューの引っ張り強さ、また撤去時のトルクの大きさについて測定する。同様に、摘出した上顎骨の組織学的・病理学的解析、炎症細胞の発現、血清学的解析、骨における遺伝子発現について行う。
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Research Products
(1 results)