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2017 Fiscal Year Research-status Report

遺伝子改変マウスを用いた歯根形成・維持に関与する分子機構の解明

Research Project

Project/Area Number 17K17092
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

吉本 由紀  広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 特任助教 (40735304)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2019-03-31
Keywords歯根形成 / 歯周靱帯 / 骨格形成 / Msx2 / Scx
Outline of Annual Research Achievements

これまでに、ゲノム編集技術であるTALENを用いてScleraxis (Scx)、Msx2、Sclerostin (Sost)それぞれの欠失変異を持つマウス系統Scx-TALEN、Msx2-TALEN、Sost-TALENを樹立した。各マウス系統のヘテロマウスは、野生型と比較し顕著な異常は示さずに成長し生殖可能であることを確認した。さらに、ヘテロマウスを交配しScx、Msx2、Sost遺伝子が欠失しているホモマウスを作成した。Scx欠失マウスは腱・靱帯の低形成のため運動機能障害を示し、Msx2の欠失マウスは被毛とエナメル質の低形成を示すことが確認できた。Sostが欠失するマウスも得られている。Scx-TALENマウスの骨格に関しては、2017年3月に論文報告したホモ個体においてScxが欠失するScxCreノックインマウスと同様に、ホモマウスにおいて腱・靱帯の骨への付着部が低形成になることを確認した。マイクロCT検査によってMsx2-TALENホモマウスにおいて、歯根以外にも骨格が低形成となることが確認できている。またScx、Msx2いずれのホモマウスでも歯根の低形成が確認できている。Msx2欠失マウスの歯根形成に関しては川本法により非脱灰凍結切片を作成し、免疫組織学的に血管走行や石灰化を解析し、野生型マウスとの差を見いだしている。
また歯根の周囲には、Scxを発現しScxGFPトランスジェニックマウスにおいてGFP陽性となる細胞が存在する。未分化間葉系間質細胞からGFP陽性細胞への分化に影響を及ぼす条件を探索するために、ScxGFP-iPS細胞から直接的または胚様体を介してGFP陽性細胞に分化する誘導系を樹立した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

解析のために必要なホモマウスを作出するために、ヘテロマウスによる交配を進めている。Scx、Msx2、Sostいずれの系統もホモマウスを得ることに成功しているが、Scx、Msx2欠失マウスは、運動機能や咀嚼機能が障害されているために、野生型やヘテロマウスと比較して誕生後も育成が難しく、当初の想定通り、解析のために必要な個体数を確保するために時間がかかっている。 Sost-TALENマウスに関しては、ホモマウスの基本的な表現系を確認中である。試料作成を行いながらも、交配と個体確保を続けている。
これまでの組織解析やマイクロCTによる解析の結果からも、すでに歯根や骨格形成において、興味深い表現系が確認できている。さらに遺伝子発現やタンパク質の局在を調べるために準備を進めている。また、象牙芽細胞や歯周靱帯などの歯根の周囲組織を蛍光タンパク質であるGFPの発現によって可視化するために、それぞれのマウスを歯周組織においてGFPを発現するScxGFPトランスジェニックマウスと交配している。Msx2-TALEN及びScx-TALENの2系統はScxGFPのトランスジーンを持つヘテロマウスが得られている。さらにホモマウスを作成するための交配を行っているが、Msx2-TALENの系統に関しては、ホモの個体が誕生せず個体を得ることが難航している状態である。
マウスの交配や解析の進捗状況を総括すると、概ね当初の予定通りであると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

申請時の方針には大きな変更はないが、初年度の解析の結果や進行状況から、研究計画を修正する必要がある。Msx2やScxの単独の欠失マウスにおいて、これまでに報告のない興味深い表現系が明らかとなっているため、解析をより丁寧かつ詳細に進めていく必要があると考えられる。遺伝子の多重欠損マウスの作成と基本的な解析は進めていくが、これまでに得られた結果をもとに、さらにMsx2やScxの歯根形成においての機能解析を深めるための解析に集中し研究を進めることが必要である。また、マウスの交配と試料採取には当初の予定通り時間がかかっている。しかし、ScxGFPトランスジーンを持つことによって、歯周組織がGFPの発現によって可視化され、かつMsx2が欠失しているホモマウスは、交配を重ねているにも関わらず未だに1個体も得られていない。遺伝子改変アレルを多重に持つマウスが胎生致死となり誕生しないことはしばしば報告されている。本研究でもその可能性を考えて、抗体の使用など他の代わりの方法を用いて解析を進めていく準備を行っている。

Causes of Carryover

マウスの交配と試料採取に時間がかかっているために、解析に必要な経費がまだ消費できていない。次年度に解析が多くなるために、その経費として使用する予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2018 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Journal Article] Scleraxis is a transcriptional activator that regulates the expression of Tenomodulin, a marker of mature tenocytes and ligamentocytes.2018

    • Author(s)
      Shukunami C, Takimoto A, Nishizaki Y, Yoshimoto Y, Tanaka S, Miura S, Watanabe H, Sakuma T, Yamamoto T, Kondoh G, Hiraki Y.
    • Journal Title

      Scientific reports

      Volume: 8 Pages: 1-12

    • DOI

      10.1038/s41598-018-21194-3.

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] ゲノム編集技術を用いた鎖骨頭蓋異形成症モデルマウスの作成2017

    • Author(s)
      吉本 由紀、森 健吾、星野 麻里、田中 誠真、渡邊 仁美、佐久間 哲史、山下 寛、岡本 哲治、近藤 玄、山本 卓、開 祐司、宿南 知佐
    • Organizer
      日本ゲノム編集学会第2回大会
  • [Presentation] basic helix-loop-helix型転写因子Scleraxisは腱・靱帯接合部の成熟を制御する2017

    • Author(s)
      吉本 由紀、滝本 晶、開 祐司、宿南 知佐
    • Organizer
      第35回日本骨代謝学会学術集会
  • [Presentation] Scx/Sox9陽性前駆細胞は腱・靭帯付着部の形成に寄与する2017

    • Author(s)
      吉本 由紀、滝本 晶、開 祐司、宿南 知佐
    • Organizer
      第59回歯科基礎医学会学術大会
    • Invited
  • [Presentation] 靭帯分化誘導系構築に向けたScxGFP iPS細胞の樹立2017

    • Author(s)
      吉本 由紀、宿南 知佐
    • Organizer
      厚生労働省科学研究委託費(AMED) 後縦靭帯骨化症の病態解明・治療法開発に関する基礎研究斑ミーティング
  • [Presentation] 転写因子Scleraxisは筋骨格系を連結する組織の成熟を制御する2017

    • Author(s)
      吉本 由紀、滝本 晶、渡邊 仁美、近藤 玄、佐久間 哲史、山本 卓、開 祐司、宿南 知佐
    • Organizer
      2017年度生命科学系学会合同年次大会
    • Invited

URL: 

Published: 2018-12-17  

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