2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K17096
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
長尾 隆英 明海大学, 歯学部, 客員講師 (70737006)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 立効散 / 鎮痛効果 / NSAIDs / 薬物動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科疾患は疼痛を伴うものが多く,疼痛管理は患者の苦痛軽減に加え,予後を左右する重要な因子である.そのため鎮痛効果の高い酸性非ステロイド性鎮痛薬(NSAIDs)が頻用されるが,抗悪性腫瘍薬誘発性の口内炎などには無効である.そのようなNSAIDs抵抗性症例に対し,有効とされる漢方薬(立効散)の炎症性疼痛への鎮痛効果を動物実験にて定量評価したところ,アスピリン並びにアセトアミノフェンと同様の効果を示すことが明らかとなった. そこで次に,その薬物動態の解析と作用機序を明らかにし,適切な投薬ストラテジーの提案を行うこと.さらには代謝産物を抽出し,薬理効果の解析を目的とした. 薬物動態解析を行うためHPLCを用いて評価してきたが,より詳細に検討するためにUPLCを用いることとした.解析を行うにあたり,実験動物の種類の選定,採血の方法,採血量の決定,採取サンプルを取り扱い,適切に保存する器具機材の材質,種類の選定,また,UPLCで解析する際の条件の検討を行い,精度の高い再現性を得られるための条件を探った. 動物実験における鎮痛効果は,立効散経口投与後からの経過時間によって鎮痛効果の発現に違いが見られた.UPLCにおける解析においても,立効散投与後からの経過時間によって,クロマトグラム上に発現するピークに違いが見られた.また,投与濃度依存的に発現するピーク高さに変化が見られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験機器の故障や変更による実験環境の整備や対応はできたが,より精度の高い実験結果のの再現性を得るための条件や薬物濃度の選定に時間を要したため. 実験機器の共用使用者の存在により実験条件の均一性を図るための時間を要した. また,実験機器を制御するコンピューターシステムのトラブルにより,データ抽出が一時できなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでで得られたデータの解析,及び,薬物動態の解析と代謝産物の抽出を行う. ラットの肝臓を摘出し得られたミクロソーム分画,または薬物代謝酵素キットを用い,立効散を添加し代謝産物を回収する.作用時間はin vivo での検討で得られた時間を参考に20,40,90分とし,37℃でインキュベーションを行い,代謝産物をUPLCを用いて解析する.作用時間により得られる代謝産物に違いがある場合には,それぞれをマクロファージに添加しCOX等の阻害に関与するかも検討する. その後は動物実験モデルによる鎮痛効果と治療効果への影響を,さらには生化学的,電気生理的ならびに解剖学的検討も進める.
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Causes of Carryover |
本年度は実験条件の検討,データの抽出や検討が主な内容となり既存の器具・機器,薬品を使用し,新規の機器や薬剤を多く購入せずに済んだ. 次年度は,得られたデータをもとに,解析のための動物,機器,薬剤キット等の購入が必要となる.
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