2017 Fiscal Year Research-status Report
Piezo1による抗腫瘍効果を活用した次世代型口腔癌治療薬の開発を目指して
Project/Area Number |
17K17103
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長谷川 佳那 九州大学, 歯学研究院, 助教 (30793989)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 口腔癌 / 機械受容器 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍は腫瘍細胞からなる実質とその周囲の間質からなる。近年、間質の硬さが悪性腫瘍の進行を促進するという報告がなされ、微小環境が腫瘍形成に与える影響のメカニズムの解明が期待されている。しかし、その詳細な分子機構は不明である。そこで、癌周囲組織に硬結を触れることがある口腔癌において、機械受容器がこの癌微小環境に生じる機械的ストレスを感知し、腫瘍形成に関与していると推察した。すなわち、機械受容器が腫瘍実質で機能するだけでなく、硬さを感知しその腫瘍形成を促進していると予想されるため、本研究では、腫瘍実質と間質の両方を標的とした新規の口腔癌治療薬の開発を目指している。 平成29年度は口腔扁平上皮癌細胞株における機械受容器の関与をin vitroにて解析した。まず、口腔扁平上皮癌細胞株を含む各種癌細胞株における機械受容器のmRNAおよびタンパクの発現量を解析し、高発現株を選定した。この高発現株において機械受容器のアゴニストを作用させると細胞内のイオン濃度が上昇した。次に機械受容器の発現を抑制するsiRNAを作製し、効果的にノックダウンできた。また、機械受容器の発現抑制下にて細胞増殖の変動が認められ、現在細胞内シグナル伝達経路を解析している。今後は、機械受容器が口腔扁平上皮癌細胞株の浸潤、遊走能に与える影響を2次元および3次元培養にて解析する。また、ヌードマウスを用いた腫瘍形成への影響をin vivoにて解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
効率よくノックダウンできるsiRNAの設計に時間を要したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
機械受容器の口腔扁平上皮癌細胞における関与をin vitroにて解析したのち、shRNAを用いた恒常的に機械受容器の発現を抑制した口腔扁平上皮癌細胞株をヌードマウスに移植したゼノグラフトモデルを用いてvivoにおける腫瘍形成への影響を検討する。
|
Causes of Carryover |
ヌードマウスを用いたin vivo実験に用いる実験動物やその他物品、試薬等の購入を予定している。また、研究成果発表のため学会への参加や論文発表に必要な経費に充てる予定である。
|