2017 Fiscal Year Research-status Report
CDDP,ATO併用による口腔癌抗腫瘍効果の分子基盤解析及び効率的化学療法の開発
Project/Area Number |
17K17115
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
大野 隆之 愛知医科大学, 医学部, 講師 (20434623)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | apoptosis / ATO / CDDP / OSCC |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株腫:HSC-2 を用いてMTTアッセイを用いてATO/CDDP併用療法による細胞生存率の変化を検討した。その結果、ATO、CDDP単独処理群に比べ、併用処理群の生存率は有意に低下することを見出した。ATO/CDDP併用療法の抗腫瘍効果の相乗性を検討するために、MTTアッセイの結果を利用して combination index(以下CI)とdoze reduction index(以下DRI)を解析し、増殖抑制率が30%から90%の範囲でCI値が1未満の値を示し、併用療法が相乗的な抗腫瘍効果を示すことが示唆された。また、増殖抑制率が40%から90%の範囲でATO, CDDP共にDRI値が2以上の値を示し、2倍以上の薬剤投与量の低減が可能である事が示唆された。AnnexinⅤ/PI二重染色によるフローサイトメトリー解析、DAPI染色による核DNAの蛍光顕微鏡による観察、Caspase 3/7活性の解析を利用し、ATO/CDDP併用群では単独療法と比較してアポトーシスが有意に増加していることを確認した。また、ミトコンドリア膜電位の低下、ROS産生量をFACS解析を用いて確認し、このアポトーシスがROSが関与したミトコンドリア経路を介してのアポトーシスであることを見出した。また、正常細胞に与える影響をヒト大動脈血管内皮細胞:Human Aortic Endothelial Cells (HAoEC)と膵臓上皮細胞であるh-TERT-HPNE細胞をもちいてその効果を検討し、腫瘍細胞で確認した併用療法によるアポトーシス増強効果は、正常細胞ではほぼ認められないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していた、口腔扁平上皮癌細胞株種 HSC-2に対するATO/CDDP併用による相乗的な抗腫瘍効果発現の確認、分子機構の解析について、概ね予定通り検討を行った。今後、腫瘍株同種であるHSC-3、HSC-4を用いた検討や、ATO/5-FU、ATO/DOC併用による抗腫瘍効果のを行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株種であるHSC-3、HSC-4を対象に追加し同様の実験を行い、抗腫瘍効果の増強がその細胞株に特異的なものである可能性を検討し、口腔癌細胞株全般への有用性を検証している。またATO/5-FU、ATO/DOC併用による抗腫瘍効果の検討も開始している。今後、マイクロアレイ法を利用した遺伝子発現解析を行い、これまで報告されてきた ATO や CDDP の標的遺伝子についても 同様の解析を行い、本研究によって得られた結果と比較を行う予定である。使用する口腔癌細胞株の間で併用療法による抗腫瘍効果の増強に相違がある可能性があり、本研究では標的遺伝子の発現量と併用療法の効果との相関係数を算出し、この点について考察したい。
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