2018 Fiscal Year Research-status Report
光干渉断層計を用いた垂直性歯根破折のメカニズムの解析
Project/Area Number |
17K17120
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
飯野 由子 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (90778458)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯内療法 / 光干渉断層計 / 根管治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
垂直性歯根破折(VRF)は、齲蝕や歯周病と同様に、歯を喪失する原因となる。これまでVRFと根管治療との関連が指摘されている。しかし、具体的な発生メカニズムは未だ解明されていない。その原因の一つとして、非破壊的検査が困難であったことが挙げられる。近年、画像診断技術が発展し、微細な亀裂を非破壊的に検出することが可能となった。そこで、本研究課題では、光干渉断層計(OCT)を用いて、根管治療過程における亀裂発生の検出および解析を行い、そのメカニズムの解明を行うことを目的とした。 本年度は、研究計画に従い抜去歯を用いて根管治療過程における亀裂の発生を評価した。下顎大臼歯歯冠部を切除し、亀裂発生頻度の高い部位である近心根を分離し、近心根に対して根管形成を行った。その後、側方加圧根管充填を行った。根管形成後、および根管充填後にOCT撮像とデジタルマイクロスコープ(DMS)下で亀裂発生の有無を評価した。その結果、根管充填前後で新たな亀裂の発生を認め、OCTにより亀裂の検出が可能であった。根管充填前後でOCTによる亀裂の検出精度に有意差は認めなかった。OCTによる亀裂評価の際に根管充填剤の影響は受けないと考えられる。今回、亀裂有無のゴールドスタンダードにはDMSを用いたため、歯根表面に及ばない亀裂に関しては、DMSによる検出が困難となり、陽性的中率を下げる要因となったと考えられる。またOCTで歯根表面に及ばない亀裂様構造物が検出された場合に、その構造物が亀裂かイスムスかの違いを判定することは困難であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In vitroにおける従来の破折線評価方法としては、破壊的評価法としては切片を作製し、メチレンブルー染色をして拡大視野下にて観察する方法、もしくは非破壊的評価方法として、マイクロCTを撮像して観察する方法が挙げられる。しかし根管充填剤のようなX線造影剤がある場合はその影響を受け、アーティファクトにより微細な亀裂を検出できない場合がある。OCTはX線を使用しないため、X線造影剤を含む根管充填剤が存在してもその影響を受けずに、亀裂の検出を非破壊的に行うことができると考えられる。 本年度の結果から、亀裂有無のゴールドスタンダードの採択方法を再度検討する必要が生じた。 これまでの研究報告として、英語論文1編が国際誌に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は亀裂有無の評価のゴールドスタンダードを確立したのち、再度根管治療過程における亀裂発生の評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
計画では、国際学会発表、学会誌投稿を予定していた。そのため、旅費・投稿料を計上していたが、次年度に発表を持ち越した。 以上のことから、次年度使用額が生じた。学会投稿料が本年度に生じると考えられる。また国内外での研究報告も引き続き積極的に行っていく予定である。次年度使用額はそれに活用される計画である。
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