2019 Fiscal Year Research-status Report
光干渉断層計を用いた垂直性歯根破折のメカニズムの解析
Project/Area Number |
17K17120
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
飯野 由子 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (90778458)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光干渉断層計 / 歯内療法 / 根管治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
垂直性歯根破折(VRF)は、齲蝕や歯周病と同様に、歯を喪失する原因となる。これまでVRFと根管治療との関連が指摘されている。しかし、具体的な発生メカニズムは未だ解明されていない。その原因の一つとして、非破壊的検査が困難であったことが挙げられる。近年、画像診断技術が発展し、微細な亀裂を非破壊的に検出することが可能となった。そこで、本研究課題では、光干渉断層計(OCT)を用いて、根管治療過程における亀裂発生の検出および解析を行い、そのメカニズムの解明を行うことを目的とした。 本年度は、外科的根管治療すなわち歯根尖切除、超音波装置による逆根管窩洞形成、および逆根管充填時に発生・伸展する亀裂に対するOCTの検出能を、ヒト抜去下顎切歯を用いて評価した。ヒト抜去下顎前歯30歯を根管形成後、根管充填を行った。それから根尖切除後、逆根管窩洞形成後、逆根管充填直後および2週間、1か月、2か月後に亀裂の有無をOCTとデジタルマイクロスコープで評価した。その結果、デジタルマイクロスコープで歯根尖切除後47%、逆根管窩洞形成後87%に亀裂を認めた。充填材料の有無および材料の差異は亀裂の発生に有意な影響を与えなかった。OCTとデジタルマイクロスコープの相関は弱く、またOCTはデジタルマイクロスコープより感度が低いことが示された。象牙質中の光伝播が多様な方向に対して生じることが影響を及ぼしていると考えられた。またOCTのノイズフィルターを検討する必要がある。本年度の結果からは象牙質の亀裂の検出にはOCTの有効性は十分とは言えず、今後の研究が必要と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In vitroにおける従来の破折線評価方法としては、破壊的評価法としては切片を作製し、メチレンブルー染色をして拡大視野下にて観察する方法、もしくは非破壊的評価方法として、マイクロCTを撮像して観察する方法が挙げられる。しかし根管充填剤のようなX線造影剤がある場合はその影響を受け、アーティファクトにより微細な亀裂を検出できない場合がある。OCTはX線を使用しないため、X線造影剤を含む根管充填剤が存在してもその影響を受けずに、亀裂の検出を非破壊的に行うことができると考えられる。しかしOCT撮像時のノイズが亀裂検出に影響を及ぼしている可能性があり、撮像方法の検討を行っている。 これまでの研究報告として、国内で一件学会発表を行い、英語論文一編が国際誌に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
亀裂の有無の評価を行うためのOCT撮像条件の確立を行い亀裂発生を評価する。
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Causes of Carryover |
計画では、国際学会発表、学会誌投稿を予定していた。そのため、旅費・投稿料を計上していたが、次年度に発表を持ち越した。 以上のことから、次年度使用額が生じた。学会投稿料が本年度に生じると考えられる。また国内外での研究報告も引き続き積極的に行っていく予定である。次年度使用額はそれに活用される計画である。
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