2017 Fiscal Year Research-status Report
光干渉断層画像診断法を用いた初期う蝕に対する再石灰化誘導とその臨床技法の確立
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17K17122
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高橋 礼奈 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, その他 (40613609)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光干渉断層計 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科治療では硬組織の画像診断は主にエックス線にて行なわれるが、解像度に限界があり初期う蝕は検知されづらいことや、被爆の問題から頻回に撮影できないのが現状である。光干渉断層計(Optical Coherence Tomography, 以降OCT)は、近赤外光を光源に利用し、非破壊にて組織の断層画像を病理組織切片に近い精度でリアルタイムで観察できる断層画像装置である。OCTを用いて、エックス線では難しかった、歯の亀裂の診断、コンポジットレジン修復のギャップの観察が行われている。さらに、エナメル質表層下のミネラル密度の測定が可能であることが明らかにされており、3次元画像の構築も可能である。 本年度は、イオン放出能と酸緩衝能を併せ持つS-PRGフィラー含有のシーラント材、フッ素徐放性シーラント材、レジン系シーラント材をシーラント材周囲のエナメル質の脱灰についてOCTにて評価した。 牛歯エナメル質ブロックに各シーラント材を充填し、脱灰液(2.2 mM Ca, 2.2 mM P, 50 mM acetic acid, pH4.5)に5日間浸漬した。シーラント材から、100μmと900μm の部位のエナメル質脱灰量をOCT(Santec OCT-2000) にて評価を行った。脱灰前浸漬前は、すべての試料で差は認められなかった。脱灰液浸漬後は、S-PRGフィラー含有のシーラント材、フッ素徐放性シーラント材周囲にて脱灰抑制が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エナメル質の光透過性は1300nm付近で高いため、光源として主に波長1300nm付近のレーザーが用いられる。健全エナメル歯質をSS-OCTを用いて観察すると、空気とエナメル質の光の屈折率の違いから、エナメル質表面で光が反射し輝度が上昇し白く見える。エナメル質脱灰部も輝度が上昇し、周囲の健全エナメル質と比較すると白く見える。これは、脱灰によりエナメル質に微小な欠陥が形成された部分に水や組織液が侵入し、屈曲率の変化が生じるためである。歯質の脱灰の状態とミネラル密度と屈折率の変化に相関があり、脱灰により近赤外線レーザーの減衰係数が変化し、画像深度が低下することがわかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
再石灰化度の定量的評価(ミネラル密度、ミネラル損失量、脱灰深さ)を引き続き行う。今後は脱灰液浸漬だけでなく、pHサイクルを行う予定。
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Causes of Carryover |
年度末の試薬発注の関係上、次年度使用額が生じた。
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