2018 Fiscal Year Research-status Report
新規還元剤のフッ化ジアンミン銀変色抑制効果:歯科保存修復への応用
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17K17124
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
松井 七生子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (10754963)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フッ化ジアンミン銀 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画していた、健全歯質及び脱灰象牙質に対するフッ化ジアンミン銀の変色の評価、またフッ化ジアンミン銀塗布後の接着への影響の評価は予定よりも速やかに進展し、国際学会にて2演題発表を行った。内1演題の内容については国際誌への学術論文の掲載も完了している。 また、マイクロCTを用いたフッ化ジアンミン銀塗布歯面の脱灰抑制効果の評価及び人工口腔装置(OBR)を使用したバイオフィルム形成抑制効果の評価の研究についても順調に進展し、国内学会にて2演題発表を行った。 実験においては38%フッ化ジアンミン銀群、3.8%フッ化ジアンミン銀群、38%フッ化ジアンミン銀塗布後にヨウ化カリウムを塗布した群、および38フッ化ジアンミン銀と同程度のフッ素濃度のフッ化カリウムをウシ抜去歯象牙質に対して塗布し、比較を行った。研究結果より、フッ化ジアンミン銀による変色は濃度に依存して変化すること、また変色抑制のためにフッ化ジアンミン銀塗布後ヨウ化カリウムを塗布する手法は変色抑制効果はあるものの、脱灰抑制効果およびバイオフィルム付着抑制効果は従来のフッ化ジアンミン銀塗布のみよりも劣ることが示唆された。また各群の象牙質塗布後の走査型電子顕微鏡像を確認すると、象牙細管の封鎖が38%フッ化ジアンミン銀以外は不十分であることが確認された。このとこから38%フッ化ジアンミン銀以外は十分な象牙質知覚過敏抑制効果が得られない可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在研究は順調に進展している。また今後も研究に使用する予定の機材は人工口腔装置(OBR)やμCT等の現有設備であるため、研究を遂行する上で大きな問題なく進展すると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
健全象牙質、および人工脱灰象牙質へのフッ化ジアンミン銀の影響の評価が計画よりも早期に終了したため、新規還元剤(グルタチオン)配合フッ化ジアンミン銀の評価をより積極的に行っていきたい。評価方法としては当初の研究計画通り、人工口腔装置及びTMR法、またはμCT(現有設備)等を引き続き用いていく予定である。 さらに今後人工脱灰象牙質ではなく、天然のヒト抜去う蝕歯を使用して、より臨床に即したフッ化ジアンミン銀の影響評価を目指していく。
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Causes of Carryover |
平成30年度は当初計画していた、健全歯質及び脱灰象牙質に対するフッ化ジアンミン銀の変色の評価、またフッ化ジアンミン銀塗布後の接着への影響の評価が予定よりも速やかに進展し、国際学会にて2演題発表を行ったため、フッ化ジアンミン銀塗布歯面の脱灰抑制効果の評価及びバイオフィルム形成抑制効果の評価の研究の予定を早めて研究計画を進展させるために必要な研究経費を前倒し請求を申請した。前倒し請求後、研究は順調に進行し、予定外の予算も発生しなかった。 平成31年度は次年度使用額と合わせて、引き続き人工口腔装置(OBR)やμCT等の現有設備で、研究を遂行していく。健全象牙質、および人工脱灰象牙質へのフッ化ジアンミン銀の影響の評価が計画よりも早期に終了するため、変更後はより新規還元剤(グルタチオン)配合フッ化ジアンミン銀の評価をより積極的に行っていきたい。評価方法としては当初の研究計画通り、人工口腔装置及びTMR法、またはμCT(現有設備)等を引き続き用いていく予定である。さらに今後人工脱灰象牙質ではなく、天然のヒト抜去う蝕歯を使用して、より臨床に即したフッ化ジアンミン銀の影響評価を目指していく。
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Research Products
(11 results)