2018 Fiscal Year Research-status Report
コラーゲン内における自由水の効率的除去による接着耐久性の改善
Project/Area Number |
17K17125
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
千葉 彩香 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (90778911)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コラーゲン / 象牙質 / 脂質接着耐久性 / 有機溶媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンポジットレジンと象牙質の接着において、酸エッチングによって露出したコラーゲン中に存在する水素結合をしていない水、すなわち自由水や不完全結合水が、アドヒーシブ中のモノマーと置換することで接着性を獲得している。しかし、それらの水が合理的に除去・置換されないと、コラーゲンは水素結合により凝集し、十分な接着を得ることができない。以前の研究より、エタノールを用いると、MMP抑制物質や架橋結合作用物質を使用しなくても接着耐久性が得られることが示唆されている。エタノールは脱灰象牙質から自由水および不完全結合水を除去し、湿潤コラーゲンやプロテアーゼにレジンモノマーを浸透させる働きがある可能性がある。本年度までに、固定相に脱灰象牙質パウダーを用いたサイズ排除クロマトグラフィーを応用して行った。先行研究で、水を移動相としてHEMAやTEGDMAの分子が水に浸した脱灰象牙質中のコラーゲンに浸透できるということを実証してきたが、このサイズ排除クロマトグラフィーの移動相に無水エタノールを用いて、自由水や不完全結合水を化学的に除去してもコラーゲン分子間のスペースが保たれ、ジメタクリレートがコラーゲン間に侵入できるかどうかについて検証をおこなってきた。また、エタノールに一定量の水を加え同様の実験を行ったところ、結果、コラーゲン中にジメタクリレートが浸透するために、最適な水の添加割合を知ることができる可能性が示唆された。本年度は,HEMAを用いて同様の実験を行ってきた.コラーゲン中へのじめたメタクリレートへの浸透は,エタノールほどではないが,HEMAにも促進効果がある可能性が示唆された.次年度は、移動相にTEGDMAを使用し、同様の実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サイズ排除クロマトグラフィーのセットアップを行い,象牙質パウダーを用いて,脱灰象牙中のコラーゲンへのジメタクリレートの移動に関する知見が蓄積された
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Strategy for Future Research Activity |
今後は治療計画に基づき、エタノール,HEMAのみならず,TEGDMAを用いたサイズ排除クロマトグラフィを行っていく予定としている。ただし、吸光度の観点から分光光度計での検出が難しい場合,水もしくはエタノールで希釈して検出させるか、トレーサーとして使用するジメタクリレートを変更する必要があるかもしれない。
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Causes of Carryover |
消耗品の使用量,研究成果発表時期変更のため
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