2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K17141
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
辻本 暁正 日本大学, 歯学部, 助教 (10608409)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ユニバーサル接着材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユニバーサル接着材料の界面科学的接着機構を解明する研究の一環として,ユニバーサル接着材料の接着性を様々な被着体(エナメル質,象牙質,コンポジットレジン,セラミックス,ジルコニアあるいは歯科用合金)に対するアドヒーシブ処理前後の表面自由エネルギーを指標として検討を行った。その結果,様々な被着体の有する表面自由エネルギーは,被着体の組成成分によって異なるものの,ユニバーサル接着材料を用いたアドヒーシブ処理面においては,いずれの被着体においても同様な界面科学的性質を示した。このように,ユニバーサル接着材料は様々な界面科学的性質を有する被着面を均一化し,その後に充填されるコンポジットレジンとのぬれ性および相溶性を高める事で,その接着性を向上させる可能性が示された。そこで,ユニバーサル接着材料の様々な被着体との初期接着性に関しても併せて検討を行った。その結果,ユニバーサル接着材料の様々被着体に対する接着性は,アドヒーシブおよび被着体の種類によって異なるものであった。このことから,ユニバーサル接着材料は様々な被着体の界面科学的性質を改質し,コンポジットレジンとの接着性を高める事が可能であるもの,その接着性はアドヒーシブと被着体との化学的相互作用にも影響を受ける事が判明した。また,ユニバーサル接着材料の様々な被着体に対する接着性について,界面科学的手法である表面自由エネルギーを指標とした検討も重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究計画であるユニバーサル接着材料の様々な被着体との接着性をアドヒーシブ処理前後の表面自由エネルギーを指標として検討し,機能性モノマーの有する歯質に対する化学的接着能の違いについて十分な結果が得られている。また,ユニバーサル接着材料の様々な被着体に対する接着性について界面科学的手法を用いた検討と,従来から用いられている接着強さ試験との相関性も判明しており,これらの検討による歯質接着機構の評価の重要性も明らかとなった。当初予定していた実験が予想より順調に遂行されており,これらの検討とともに,口腔内環境において接着界面に加わる温熱ストレスを想定した加速劣化試験を行うことで,ユニバーサル接着材料の接着耐久性についても検討し、結果が得られているため、当初の計画以上に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に実施した研究結果に基づいて,ユニバーサル接着材料と様々な被着体との化学的相互作用についても界面科学的な観点から検討を行う。すなわち,様々な被着体に対するアドヒーシブの化学的接着能をアドヒーシブ処理面の界面科学的性質について検討する。これらの検討と,平成29年度の研究結果を合わせて検討し,ユニバーサル接着材料の接着界面を構成する各部材間の化学的相互作用について考察する。これらの検討からユニバーサル接着材料の様々な被着体に対する界面学的接着機構について新たな観点から知見を加える。
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Research Products
(18 results)