2017 Fiscal Year Research-status Report
歯髄幹細胞のCD44を介した象牙芽細胞分化誘導メカニズムの解明
Project/Area Number |
17K17146
|
Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
太田 貴久 朝日大学, 歯学部, 講師 (10454274)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 歯髄幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は歯髄幹細胞の象牙芽細胞への分化誘導メカニズムを明らかにすることで、歯髄幹細胞を効率的に象牙芽細胞へ分化誘導する方法を見出し、新規の覆髄剤の開発や、歯髄幹細胞を用いた歯牙再生へと繋げることである。そのため、我々の初年度の研究計画初年度の研究計画に従い、まず成人臼歯より作製された歯髄幹細胞株(Dental Pulp Stem Cells, Adult Teeth: DP003F, ALLCELLS)を用いて、ヒアルロン酸によるCD44を介した象牙芽細胞分化誘導を詳細に検証した。方法としては事前の我々の研究より、ヒアルロン酸10μg/mLの刺激により、象牙芽細胞マーカーである、DSPPとDMP-1が誘導されることをウエスタンブロッティング法にて確認してあるので、象牙芽細胞分化誘導の主要なシグナル伝達経路であるAkt,、MAPKのリン酸化を検証し、ヒアルロン酸によりそれらのシグナル伝達経路が活性化されているかを検証した。その結果、ヒアルロン酸により歯髄幹細胞はAktとMAPKの双方のシグナルが活性化されていた。そこで、AktもしくはMAPKのシグナルを抑制した場合、象牙芽細胞への分化誘導が抑制されるか検証したが、それらのシグナルは象牙芽細胞への分化に直接影響していなかった。今後は、他のシグナル伝達経路を模索する一方、AktとMAPKのシグナル両方を同時に抑制した場合、象牙芽細胞への分化誘導が抑制されるか検証する。 また、一方で、炎症状態におけるヒアルロン酸による象牙芽細胞への分化誘導への影響を検証するため、まずはCOX1とCOX2が検証できるように予備実験を行い、ウエスタンブロッティング法にて歯髄幹細胞のCOX1とCOX2を観察できるようになった。今後は、LPSもしくはIL-1betaなどで、炎症刺激を加えた場合の象牙芽細胞分化誘導への影響を検証する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は歯髄幹細胞の象牙芽細胞への分化誘導メカニズムを明らかにすることで、歯髄幹細胞を効率的に象牙芽細胞へ分化誘導する方法を見出し、新規の覆髄剤の開発や、歯髄幹細胞を用いた歯牙再生へと繋げることであり、研究初年度は歯髄幹細胞の象牙芽細胞への分化誘導の詳細を明らかにすることと、炎症状態における象牙芽細胞分化誘導を検証する予定ではあった。しかしながら、両方の計画とも着実に進行してはいるものの、最終的な結論までには至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
歯髄幹細胞の象牙芽細胞への分化誘導メカニズムを解明するため、Akt、MAPK以外のシグナル伝達経路を模索する一方、AktとMAPKのシグナル両方を同時に抑制した場合、象牙芽細胞への分化誘導が抑制されるか検証する。 また、炎症状態における歯髄幹細胞の象牙芽細胞分化誘導の検証に 関しては、LPSもしくはIL-1betaなどで、歯髄幹細胞に炎症刺激を加えた場合の象牙芽細胞分化誘導への影響を検証する予定である。
|
Causes of Carryover |
研究初年度は歯髄幹細胞の象牙芽細胞への分化誘導の詳細を明らかにすることと、炎症状態における象牙芽細胞分化誘導を検証する予定ではあったが、着実に研究は進行しているものの、予備実験の段階で停滞したため。初年度に引き続き、歯髄幹細胞の象牙芽細胞への分化誘導メカニズムを解明するため、主に、ウエスタンブロッティング用抗体を購入する予定である。
|