再建舌形態と口腔・嚥下機能の関連性の解明

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K17150
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 石河 理紗 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (40734471)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 顎顔面補綴学 / 顎口腔再建外科学

Outline of Annual Research Achievements

各種画像データから再建舌の形態抽出を行った。
実験に先立ち、頭頚部を撮影したサンプルCTやMRIからDICOMデータを抽出し、画像解析ソフトウェアを用いて組織の形態抽出のための具体的な画像処理方法、解剖学的ポイントの設定やマージン部の処理等に関する手技の習熟を行った。特に画像上、組織の判別が困難である口腔底部分については、組織の識別に有用と思われる解剖学的ポイントを多数設定し、実際の被験者データにおいてそれぞれ検証を行い、使用するポイントの絞込みを行うこととした。処理後の再構成による3次元データにおいて、撮影時の断層幅によってポイントの設定に調整を要する場合もあり、それらについても検証を行った。
次に被験者として、①口腔内が放射線療法の照射野に含まれていない、②CT、MRIなどの画像検査が実施されている、③上下顎無歯顎あるいは口腔内メタルフリーの被験者を選定した。
被験者の過去のCT、MRIからDICOMデータを抽出し、画像解析ソフトウェアへ取り込みを行った。まずCTの術前および術後の画像データについて、それぞれ解剖学的ポイントの設定、マージン部の調整を行い、各組織の抽出を行った。続いて術前データと術後データの比較を行い、再建舌形態をさらに微調整した。MRIの術前、術後データについても同様に処理を行い、再建舌形態を抽出した。CTから抽出した再建舌形態とMRIから抽出された再建舌形態とを比較し、それぞれの画像データからの抽出の特徴を検討した。またそれぞれの再建舌形態と口腔内写真における再建舌形態とを比較し、形態再現性について検討した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究実施者の産前産後休暇および育児休業に伴う研究中断のため当初の予定よりやや遅れている。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度に行った再建舌形態を基に、画像解析ソフトウェア上で再構成処理を行い、被験者の再建舌の3次元形態を再現した再建舌イメージを作製する。続いて、再建舌イメージと実際の再建舌形態との差分を検証するために、シミュレーション用ソフトウェア上で再建舌イメージの外形に沿うような再建舌モールドをシミュレートし、３Dプリンターを用いて再建舌モールドを造形する。モールドを被験者口腔内に試適、調整し、調整後のモールドをスキャニングする。スキャニング像と再建舌イメージとを重ね合わせることで再建舌イメージを修正し、それと画像データからの再建舌形態の抽出方法を補正し、再建舌形態抽出方法を確立する。
続いて術後に各種画像検査および摂食・嚥下検査が行われている舌再建患者10名を被験者とし、上記手法にて再建舌イメージを作製する。作製された再建舌イメージについて各種計測を行い、被験者間で比較することで、個体差の少ない再建舌に共通する特徴を明らかにするとともに、個体差の大きい、手術手技や術野などに影響を受けやすいと考えられる部位、形態を検索する。
さらに各被験者の摂食・嚥下機能の評価として下記の検査項目を抽出する。①口腔内診査：咬合力、咀嚼能力、舌圧、②嚥下内視鏡検査：兵頭のスコア、鼻咽腔閉鎖不全の有無、早期咽頭流入の有無、③嚥下造影検査：AsRスコア、口腔内残留の有無、早期咽頭流入の有無、咽頭部への送り込み、咀嚼運動の状態。各被験者について摂食・嚥下機能と再建舌の形態的特徴を比較し、その関連性について検討する。また、被験者のうち、良好な摂食・嚥下機能を示したものを対象に、共通する再建舌形態的特徴を明らかにする。

Causes of Carryover

産前産後休暇および育児休業の取得に伴う研究の中断により次年度使用学が生じた。平成30年度より延長申請後の研究計画に基づき、予定通り使用する。