2018 Fiscal Year Research-status Report

再建舌形態と口腔・嚥下機能の関連性の解明

Research Project

Project/Area Number	17K17150
Research Institution	Tohoku University
Principal Investigator	石河理紗東北大学, 大学病院, 医員 (40734471)
Project Period (FY)	2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords	顎顔面補綴学 / 顎口腔再建外科学
Outline of Annual Research Achievements	各種画像データから抽出した再建舌形態について、実際の再建舌形態との比較を行った。前年度は口腔内写真における再建舌形態との比較を実施したが、口腔内写真の場合には開口状態で撮影されているため、軟組織の進展等により再建舌形態も変形を生じるため、閉口状態で撮影された各種画像データの再建舌形態と完全に一致することはない。口腔内写真との比較では全体的なボリュームや再建部マージンのずれに重点を置いた確認を実施した。ボリュームについては概ね大きなずれはなかったが、再建部マージンについては全体に誤差が認められた。そこで再建部マージンを各種画像データから抽出する際の条件について、さらなる検討を行った。新たな抽出条件により、誤差をある程度抑えるが可能となった。続いて具体的な差分の検討のため、再建舌のモールドのシミュレートを行った。３Dシミュレート用ソフトウェアを用いて、再建舌イメージ表面に沿うような再建舌モールドを作製した。モールドは全体に均一な厚みでシミュレートし、断端は再建舌マージンとした。シミュレートを基に3Dプリンターを用いて再建舌モールドを造形した。造形された再建舌モールドについて計測を行い、誤差について検討した。次に再建舌モールドの断端をどこに設定するか検討した。再建舌全体を被覆すればより正確な比較検討が可能となるが、その場合には装着が困難となる場合や疼痛を生じる場合があると思われたため、容易に着脱可能で、必要十分な形態比較が可能な断端設定にする必要があった。モールドの厚みによって硬さにも若干の変化が生じるため、数種類の厚みのモールドを作製し、併せて検討を行った。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 研究実施者の産前産後休暇および育児休業に伴う研究中断に伴い遅れていた実験段階を予てお通り実施していたが、途中段階で計画当初の予定より検討項目が増加し、実施に時間を要した。さらに再建舌モールドの断端設定については予定していた部位では装着困難となることが予想されたため、シミュレート調整、試作、測定を繰り返すことになり、予定していた計画段階まで進行することができていない。
Strategy for Future Research Activity	平成30年度に引き続き、再建舌モールドの造形方法の確立を行う。確立されたモールド作製方法に基づき、被験者の再建舌モールド作製、被験者口腔内に試適し、ずれについて調整を行う。調整後のモールドをスキャニングし、スキャニング像と再建舌イメージとを重ね合わせる。重ね合わせによって生じた差分について再び再建舌イメージを修正し、画像データからの再建舌形態の抽出方法について補整を検討する。以上によって再建舌形態抽出方法を確立する。続いて術後に各種画像検査および摂食・嚥下検査が行われている舌再建患者10名を被験者とし、上記手法にて再建舌イメージを作製する。作製された再建舌イメージについて各種計測を行い、被験者間で比較することで、個体差の少ない再建舌に共通する特徴を明らかにするとともに、個体差の大きい、手術手技や術野などに影響を受けやすいと考えられる部位、形態を検索する。さらに各被験者の摂食・嚥下機能の評価として下記の検査項目を抽出する。①口腔内診査：咬合力、咀嚼能力、舌圧、②嚥下内視鏡検査：兵頭のスコア、鼻咽腔閉鎖不全の有無、早期咽頭流入の有無、③嚥下造影検査：AsRスコア、口腔内残留の有無、早期咽頭流入の有無、咽頭部への送り込み、咀嚼運動の状態。各被験者について摂食・嚥下機能と再建舌の形態的特徴を比較し、その関連性について検討する。また、被験者のうち、良好な摂食・嚥下機能を示したものを対象に、共通する再建舌形態的特徴を明らかにする。
Causes of Carryover	研究の遅れに伴い、当初予定していた購入品の多く（データ処理用パソコン、外付け記録媒体、DVDメディア、デジタルカメラ、3Dプリンター用造形材料、咀嚼機能検査材、舌圧測定用プローブ、検査用食品、データ整理用消耗品等）について、購入を延期しているため。次年度使用分については、遅れている実験計画を順次遂行し、当初の計画通りの物品に対して経費執行する予定である。