2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K17150
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石河 理紗 東北大学, 歯学研究科, 助教 (40734471)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 顎顔面補綴学 / 顎口腔再建外科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
再建舌モールドについて、前年度に引き続き断端位置の設定およびモールドの厚みに関して詳しく検討を行った。 再建舌全体の被覆すれば正確な比較検討が可能となるが、その一方で着脱困難となったり、疼痛を生じる可能性が高くなったりすることが予測されたため、容易に着脱可能で、必要十分な形態比較が可能な断端設定が求められるが、当初予定していたモールド素材では、厚みの変更を行っても、形態評価において十分な要件を満たし、かつ装着に際して不具合の出ない条件を設定することが困難であった。そこで新たなモールド素材を探索するため、再建舌形態を模したシリコンゴム製モデルを用いて、複数のモールド作成を行った。これまでに検討した素材のうち、着脱時に最もモデルの変形を生じにくかった素材について、複数種類の厚みのモールドを作製し、強度等の評価を実施中である。 さらに新たなモールド素材の探索と並行して、モールドの分割について検討した。モールドの分割自体は容易に行うことが可能であるが、それを口腔内でずれがなく、かつ疼痛なく簡便に復位するために最適な、分割の位置や形態を検討した。左右分割や前後分割に加え、斜め方向の分割も検討し、復位のための機構についてもキーアンドキーウェイ方式やフック式、ピン止め式などについて検討を行った。いずれの場合も、復位のための機構に十分な強度を持たせる必要があり、一塊の場合と比較して厚くせざるを得ないため、装着時の強い違和感などが予想され、検討を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
臨床応用を踏まえると当初予定していなかった点についても追加での検討が必要となった。新たに再建舌モデルで行った素材検証に加え、被験者でも追加の検証を予定していたが、被験者との都合の調整等に想定より時間を要した。さらに、研究者本人の子の養育上の問題や本研究外の業務の一時的な増加(同僚職員の産休に伴うもの)により、予定より進行が遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、再建舌モデルを用いて、①モールド素材を変更しての一塊型モールド形態の最適化、②分割型モールドの分割形態の最適化について、並行して検討をすすめ、最適なモールド断端位置の設定および着脱方法を確定する。 そして可能な限り早期に被験者においてモールドの再検証を行い、モールドと実際の再建舌のずれの検証方法について、プロトコール化する。調整後のモールドをスキャニングし、スキャニング像と再建舌イメージとを重ね合わせる。重ね合わせによって生じた差分について再び再建舌イメージを修正し、画像データからの再建舌形態の抽出方法について補整を検討する。以上によって再建舌形態抽出方法を確立する。 続いて術後に各種画像検査および摂食・嚥下検査が行われている舌再建患者10名を被験者とし、上記手法にて再建舌イメージを作製する。作製された再建舌イメージについて各種計測を行い、被験者間で比較することで、個体差の少ない再建舌に共通する特徴を明らかにするとともに、個体差の大きい、手術手技や術野などに影響を受けやすいと考えられる部位、形態を検索する。 さらに各被験者の摂食・嚥下機能の評価として下記の検査項目を抽出する。①口腔内診査:咬合力、咀嚼能力、舌圧、②嚥下内視鏡検査:兵頭のスコア、鼻咽腔閉鎖不全の有無、早期咽頭流入の有無、③嚥下造影検査:AsRスコア、口腔内残留の有無、早期咽頭流入の有無、咽頭部への送り込み、咀嚼運動の状態。各被験者について摂食・嚥下機能と再建舌の形態的特徴を比較し、その関連性について検討する。また、被験者のうち、良好な摂食・嚥下機能を示したものを対象に、共通する再建舌形態的特徴を明らかにする
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Causes of Carryover |
研究の遅れに伴い、当初予定していた購入品の多く(データ処理用パソコン、外付け記録媒体、DVDメディア、デジタルカメラ、3Dプリンター用造形材料、咀嚼機能検査材、舌圧測定用プローブ、検査用食品、データ整理用消耗品等)について、購入を延期しているため。 次年度使用分については、遅れている実験計画を順次遂行し、当初の計画通りの物品に対して経費執行する予定である。
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