2017 Fiscal Year Research-status Report
結合組織乳頭構造をもつ培養口腔粘膜の開発と義歯装着インビトロ加齢モデルへの応用
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17K17163
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
塩見 晶 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (80736653)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 口腔粘膜インビトロモデル / 3次元微小環境 / 乳頭様構造 / うろこコラーゲン / 培養口腔粘膜 / 義歯装着 / 口腔粘膜上皮細胞 / ナノテクノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化により義歯需要が増大する一方、加齢変化が義歯床下組織に与える影響は解明されていない。本研究は義歯装着における顎骨吸収のメカニズムを解析することを最終目的としており、過去に培養口腔粘膜(3D oral mucosa model,3DOMM)を応用し義歯装着を想定した圧刺激を加えた義歯装着モデルを作製したが、上皮接着が弱く、過酷な実験条件で上皮が剥離する欠点があることが分かっている。 このため、結合組織に相当する足場材の上皮界面に凹凸形状の乳頭用構造を付与し、機械的強度が高く生体組織に近い応答が得られるin vitroモデルを開発することが必要となった。 乳頭様構造を持つ培養口腔粘膜の3次元微小環境が上皮接着に有効であることを明らかにするため、上皮細胞の播種面であるコラーゲンゲルに不織布を押圧して口腔粘膜結合組織乳頭に類似した凹凸形態を付与した3DOMM を作成したところ、組織学的、免疫組織化学検討より重層扁平上皮が形成されることがわかった。 また、本研究をより発展させるために、最新ナノテクノロジー技術の応用がより本課題を推進することが推測されたので、現在は不織布の圧接でなく、より安定した形状をコラーゲンゲルに付与するためにPDMSモールドを作製し、凹凸の形状を操作することにした。これにより得られた3DOMMの重層扁平上皮は凹凸のない平らなコラーゲンゲル上に形成された上皮よりも厚い上皮が形成されていることを確認した。3次元乳頭様構造の至適サイズを探索するため、いくつかのサイズの乳頭様構造による組織学的観察を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、平成29年度に(1) 乳頭様構造をもつ3DOMM の作成、 (3)組織学的検討、(4)免疫組織化学的検討(上皮接着、基底膜構成分子、上皮増殖、前駆細胞マーカー)を実施し、口腔粘膜上皮の3次元モデルは、乳頭様構造があることで、より生物学的活性の高い上皮構造を持つことを明らかにした。 (2)走査型電子顕微鏡による観察、(5)透過型電子顕微鏡による観察については、実施していないものの、口腔粘膜結合組織乳頭に類似した凹凸形態を付与する方法として、不織布の圧接でなく、ナノテクノロジー技術を本課題に応用することが可能であることがわかり、現在、PDMSモールドを使用して口腔粘膜結合組織のもつ乳頭様構造を付与して、インビトロモデルを作成することとし、その結果、より厚く分化した重層扁平上皮が形成されることを明らかにすることができたので、計画通りに研究を遂行出来る見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
PDMSモールドにより3次元乳頭様構造の凹凸の形状及びの至適サイズを決定する。最適な乳頭構造形態を決定した後、意図的に継代した胞を用いたin vitro 加齢モデルを作成し、組織学的解析、β ガラクトシダーゼ測定による老化解析、免疫組織学的解析、ELISA による液性因子の解析を行う。さらに、In vitro 加齢モデルへの加圧刺激と組織学的解析、免疫組織学的解析とELISA によるモデルから放出される液性因子の解析を行い、義歯装着を想定した、断続的加圧刺激がIn vitro 加齢モデルに及ぼす影響を検討する。
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Causes of Carryover |
4月に執行済みである。
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Research Products
(3 results)