2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K17168
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
來田 百代 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10733082)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 咀嚼能率 / 歯科定期受診 / 疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)データの収集:すでに平成20~24年に国立循環器病研究センター予防健診部において歯科検診を受診した吹田研究基本健診参加者の中で初回歯科検診から4年以上経過し、文書により同意を得た者に対して研究期間中に再評価を行った。また、同時に初回歯科検診も行い、ベースライン時の調査者数の増加を図った。平成29年度内に歯科検診再評価は157名であり、初回歯科検診は14名であった。 2)横断解析:咀嚼能率が低下しているものは、慢性的なストレス状態にあるのかどうか、ベースライン時の約787名を調査した。ストレスについては問診を行い、ストレスマーカーとして、唾液中のIL6濃度を検査した。ストレス有無の各群における唾液中IL6高値群の割合の分布には有意差が認められた。咀嚼能率の低値群において、唾液中IL6濃度は有意に高かった。このことより、咀嚼能率の低下は慢性的ストレスと関連している可能性が示唆された。 また、ベースライン時に20歯以上を保有する1,425名を対象に、咀嚼能率低値に関連する要因について検討を行った結果、歯周病の悪化、機能歯数と義歯を含めた臼歯部咬合支持域の減少、最大咬合力の低下が関連する事が分かった。咀嚼能率の低下に伴ってグミゼリーの噛みづらさも生じてくる事も明らかとなった。 3)プレ縦断解析:ベースライン時ならびに再評価時の歯科検診にいずれも参加した1,068名の歯科データより、継続的な歯科定期受診が咀嚼能率の維持に有効であるか検討を行った。ベースライン時およびに再評価時ともに定期受診を行っている群、どちらか一方のみの群、ともに受診なしの群の3群に分け、咀嚼能率の変化率を検討した結果、3群間に有意差が認められた。このことより、咀嚼能率の低下を軽減する上で継続した歯科定期受診が有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
データの収集においては、目標値には達してはいないが、解析を行うのに十分なデータを順調に収集する事が出来ている。解析については、今後縦断解析の基礎資料となる結果が得られ、プレ縦断解析においては、歯科データのみにより、咀嚼能率低下についての関連要因について、より詳細な解析を行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度から引き続いてデータの収集を行う。歯科検診再評価者は前年度157名であった事より、150名を目標とする。初回歯科検診については、前年度14名であった事より、目標を14名とし、ベースライン調査者数の増加を図る。解析については、前年度に引き続き、サンプル数を追加して横断解析を行う。また、ベースライン評価からの追跡期間は4年と十分ではないが、前向きコホート調査のプレ解析として、これまでの横断解析で関連が認められた因子について縦断解析を行い、今後の前向きコホートの基礎資料を得る事を目標とする。
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Causes of Carryover |
今年度分の論文投稿に関係する費用とし計画していたが、12月より産前休暇に入ったため、復帰後の翌年度に投稿予定であり、繰り越す事となった。
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Research Products
(3 results)