2018 Fiscal Year Research-status Report
骨細胞の咬合力応答に着目したインプラント周囲骨代謝バランスの解明
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17K17179
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹村 陽子 九州大学, 大学病院, 医員 (60778869)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨細胞 / インプラント |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔インプラント治療の最大の目的は、咬合、咀嚼の機能回復であり、インプラント周囲骨が咬合力によりメカニカルストレスに適正に応答し、患者の歯として長く機能することが求められている。しかし、インプラント周囲骨代謝に関しては未解明な点が多い。そこで、骨におけるメカノセンサーである骨細胞に着目し、インプラント周囲骨代謝を解明する研究を行っている。本年度の発表実績としては、昨年度までのin vitro、in vivoの解析結果をまとめて、咬合力がインプラント周囲骨代謝を活性化する可能性を示唆する英語論文として発表することができた。 実験実績としては、昨年度に引き続き、骨細胞細胞株MLO-Y4の三次元ゲル包埋培養を行い、反復刺激を付与した際の骨細胞の応答を観察した。刺激時間を短くし、細胞の初期応答に関して解析を進めているところである。また、ラット顎骨に純チタン製インプラントを埋入したモデルを作製した。インプラント体埋入後4週間の免荷期間を置いてインプラント体がオッセオインテグレーションを獲得した後に、適正荷重、過荷重、非荷重として高さを変えた上部構造を装着したモデルを作製した。今後サンプル数を増やしていく必要があるが、それぞれのモデルを作製する手技は確立しつつある。解析としては、従来行ってきた凍結切片作製やパラフィン切片作製に加え、非脱灰凍結切片の作製にもチャレンジし、より硬組織の状態を新鮮な状態で鮮明に解析できたらと考え、手技の確立に努めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞実験においては、刺激装置をインキュベーターに設置している装置の構造上、コンタミネーションが生じ十分なサンプル数を得るのに時間がかかった。また昨年度、産前、産後の休暇を取得していたが、本年度も育児等で研究に費やせる時間が限られていたため研究が遅れたと考えている。研究の延長ができたので、その分を次年度進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット顎骨インプラント体埋入モデルの作製に関しては手技が確立しつつあるので、今後は骨代謝バランスの破綻に関連する起点に着目し、咬合様式を変化させたモデルの作製を進めていきたい。それにより、インプラント周囲骨と咬合力との関連の解明が進むと考えている。また、有限要素解析の方法を学び、インプラント周囲骨ひずみと重ね合わせを行うことで、応力ー骨代謝動態をより視覚的に理解できると考えている。
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Causes of Carryover |
昨年度後半は産前、産後休暇を取得し、研究をできなかった分の繰越があり、それが本年度も残金として残ったため繰越金額が生じた。また、研究を海外にて発表する予定としていたが、育児のため本年度は海外出張ができずに学会参加費が削減されたことも繰越金額が生じた理由であると考えられる。今後の使用計画としては、遅れた分を次年度しっかりと研究して進めると共に、国内、海外での研究発表、情報収集に努めていきたいと考えている。
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