2017 Fiscal Year Research-status Report
インプラントから溶出したチタンイオンがephrinとEphの相互作用に与える影響
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17K17180
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和智 貴紀 九州大学, 大学病院, 助教 (00778863)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インプラント / 骨代謝 / メインテナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔インプラント(以下,インプラント)の代表的な材料として用いられるチタンは高い生体 安定性を誇るが, 酸性環境下においてフッ素化合物(以下,フッ化物)に暴露されると,チタン表面の不導体膜が破壊・腐食されることは広く知られている. 本研究では,チタン製アバットメントやインプラント体から溶出したチタンイオンが,インプラント周囲炎に罹患した組織から検出される細菌が産出する内毒素(以下,LPS)と連動して,インプラント周囲組織,特に骨組織にどの様な影響を与えるかを解析することを目的とする. 骨代謝に関わる遺伝子経路として,これまで注目してきた RANK/RANKL経路以外に,インプラント埋入時に発生するメカニカルストレスとも関連があるといわれ,リガンドを発現する細胞とレセプターを発現する細胞の両方向にシグナルを伝達する ephrin/Eph receptor経路が知られている.本研究では,チタンイオンとインプラント周囲炎に罹患した組織から検出される種々の細菌が産生する LPS とが共存する環境が,インプラント周囲骨における ephrin/Eph 分子発現に変化を与え,インプラント周囲炎の病態を増悪させる因子になりうるという仮説を検証することを目的とした.それに対して初年度はメカニカルストレスを有するインプラント周囲骨の状態においてephrin/Eph 分子発現を検討してきた. またこれまでの研究においては,チタン表面からのチタン溶出や剥離が起こる状況として,主に口腔内でのフッ化物応用を想定してきた.しかしながら,近年ではプロフェッショナルケアにおけるメインテナンス時にも同様の状況が起こりうるとの報告がなされてきていることから,チタン表面を損傷せずに,可及的にプラークコントロールを行う方法についても加えて検証していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞骨格に免疫組織染色を施し,細胞形態の変化について検討を行う予定であったが,未実施のため当初の予定よりも研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に続いて,チタンイオンとインプラント周囲炎に罹患した組織から検出される種々の細菌が産生する LPS とが共存するインプラント周囲骨におけるephrin/Eph 分子発現変化を動物実験を用いて検討していく. 加えて,チタン表面を損傷せずに,可及的にプラークコントロールを行うメインテナンス方法についても検証していく.
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Causes of Carryover |
本年度は、消耗品を始め、すでに購入済みであった試薬や抗体、プライマーを使用して研究を行った。また、予定よりも研究の進行が遅くなってしまったことも あり、使用金額も少なくなったことが一因にあると考えられる。
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Research Products
(1 results)