2019 Fiscal Year Research-status Report
セロトニン受容体高発現iPS細胞を用いた睡眠時ブラキシズム治療薬開発への基盤研究
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17K17187
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
松本 貴志 昭和大学, 歯学部, 助教 (00635039)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 睡眠時ブラキシズム / 5-HT2A |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、①効果的な5-HT2A高発現iPS細胞分化誘導法の確立、②5-HT2A高発現iPS細胞を用いたセロトニン受容体のSNP変異による受容体機能解析を礎とし、セロトニン受容体関連疾患治療薬を探索することを目的とする。 初年度研究は①効果的な5-HT2A高発現iPS細胞分化誘導法の確立にあたり、(a)ブラキシズムおよび対象患者のiPS細胞の樹立、(b)iPS細胞のセロトニン分化誘導法の検討、(c)効率的な5-HT2A 高発現細胞の選択的培養法の検討を実施した。(a)睡眠時ブラキシズムの遺伝子的疾患特異モデルを確立するため、5-HT2A 遺伝子上のRs6313変異が認められたブラキシズム群および変異を認めない対照群の血液細胞よりiPS細胞を樹立した。(b)樹立したiPS細胞の、安定したセロトニン関連遺伝子発現神経細胞への分化誘導方法について検討し、脳内におけるセロトニン発現量の多い部位特異的に誘導することで、セロトニン神経発現神経細胞へと分化誘導可能となった。 次年度研究は(c)5-HT2A 高発現細胞を利用するため、生細胞での5-HT2A 発現レベルをモニタリングする方法が必要であり、標的遺伝子である5-HT2Aのプロモーター領域を改変したレンチウイルスベクターを作製し、セロトニン分化を可視化することにより、5-HT2A 遺伝子を高発現しているコロニーを選択的に培養する方法を検討し、5-HT2A遺伝子のプロモーター領域を挿入したVenus標識ウイルスベクターを作製した。 本年度研究より、②5-HT2A高発現iPS細胞を用いたセロトニン受容体のSNP変異による受容体機能解析にあたり、当該iPS細胞より神経細胞へ分化した細胞へ製作したプロモーターベクターを導入し、生細胞における5-HT2A発現細胞の検出が可能となり、(ⅱ)電気生理的解析を実施し、一定の研究成果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第2年度研究予定であった研究については概ね実施できている。本年度の研究計画では5-HT2A高発現iPS細胞を用いたセロトニン受容体のSNP変異による受容体機能解析を行った。機能解析は大きく分子生物学的・電気生理学的解析に分類し、電気生理学的解析(パッチクランプ法)は実施し研究成果を得るに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
5-HT2A高発現iPS細胞を用いたセロトニン受容体のSNP変異による受容体機能解析において、分子生物学的解析を実施する必要があるため、研究期間の延長を申請し、次年度において実施する予定である。 研究内容として、5-HT2A はセロトニンの受容体であり、セロトニンをはじめ、アゴニストやアンタゴニストなど複数のリガンドを有しているため、リガンドの結合能における機能変化については、クロマチン免疫沈降法(CHIP)により直接的なリガンドと受容体の結合についての解析を行う。また、5-HT2A は低分子Gタンパク質と共役して下流シグナルを活性化することが知られている。Gタンパクとの共役機能についてはリガンド同様にCHIP解析を行い、下流シグナルについては、各種阻害剤を用いた解析により検討する。
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Causes of Carryover |
実験に使用する細胞の継代維持および標的細胞への分化や提供状況が時間的制約により遅れることで、研究内容に遅れが生じ、予定実験が未実施となり次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、研究期間延長により、次年度実施予定の研究に使用する予定である。
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