2017 Fiscal Year Research-status Report
セリア安定化アルミナ・ジルコニアインプラントの臨床応用への検討
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17K17189
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
大嶋 瑶子 昭和大学, 歯学部, 助教 (50756442)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歯科材料 / 歯科インプラント / オッセオインテグレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科用インプラント材料として現在最も広く用いられている材料はチタンであり、審美性の問題とアレルギーの問題が懸念されている。Ce-TZP/Al2O3(セリア安定化ジルコニア/アルミナ・ナノ複合体)は、現在歯科で使用されているイットリア系ジルコニアと比較して約2倍の強靭性と、口腔内のような水熱環境下でも劣化しない優れた特性を有する。本研究の目的はCe-TZP/Al2O3インプラントの開発である。我々はインプラントフィクスチャーへの応用を検討するにあたり、表面にフッ化水素酸処理を施したCe-TZP/Al2O3の骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)への影響について評価し、Ce-TZP/Al2O3が MC3T3-E1細胞の分化を促進する結果を得た。また、動物実験では、ラット大腿骨へ埋入したフッ化水素酸処理を施したCe-TZP/Al2O3インプラント体と骨との結合を確認した。 一方、天然歯周囲粘膜と比較してインプラント周囲粘膜のインプラント体に対する上皮性、結合組織性の付着は脆弱であり、インプラント周囲炎の原因菌に対する防御機能は未だ不十分である。そこで、歯肉貫通部インプラント体と歯肉上皮下結合組織との封鎖性の獲得を目的として、異なる表面粗さのCe-TZP/Al2O3上に、ヒト歯肉線維芽細胞であるHGF-1細胞を培養し、細胞接着・増殖・分化、細胞形態および炎症性サイトカインの産生について検討を行った。その結果、鏡面研磨したCe-TZP/Al2O3上で培養したHGF-1細胞は、他の基盤と比較して、前炎症性サイトカインの産生能が低く、細胞接着・増殖率、基質合成能、細胞骨格の発達がより高いことが認められた。これにより、鏡面研磨したCe-TZP/Al2O3は、歯肉上皮下結合組織とより緊密な封鎖性を獲得し、インプラント周囲炎の発症リスクを低下させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
炎症性サイトカインの評価としてELISA法で実験を行っているが、試料片に対して播種する細胞の適正量、播種後のELISAで評価するタイムポイントについて何度か実験を行い、検討に時間がかかってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
評価を行う炎症性サイトカインの種類を増やし、比較検討を行う必要がある。また、Ce-TZP/Al2O3とHGF-1との親和性について、細胞接着因子に関してリアルタイムPCRで評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究で使用する試料片と試薬の購入を予定していた為、前倒し申請を行い、1年目の使用できる研究費を多めに見積もったが、試料片の再利用が可能となり、見積もった研究費よりも使用額が少ない結果となった。
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Research Products
(1 results)