2020 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞由来5-HT受容体発現神経細胞による睡眠時咀嚼筋筋活動の発生機序の解明
Project/Area Number |
17K17191
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
戸澤 有理恵 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (70783356)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 睡眠時ブラキシズム / 疾患特異的iPS細胞 / SNP / rs6313 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎口腔系に破壊的な作用をもたらす睡眠時ブラキシズムは補綴歯科治療の予後を左右する重要なリスクファクターであるが、その発症メカニズムは明らかでな い。本研究では、研究代表者が過去に示した遺伝子多型リスクアレルを指標に、睡眠時ブラキシズム特異的 iPS細胞を樹立して神経細胞を誘導してその表現型の 電気生理学的特性を明らかにすることを目的としている。 2017年度までの時点で、セロトニン2A受容体遺伝子(HTR2A)のrs6313(T102C)の一塩基多型(SNP:single nucleotide polymorphism)の解析を行い、睡眠ポリグラフ(PSG)検査を用いた睡眠時ブラキシズムの診断とリスクアレルであるC alleleの有無が合致する被験者(睡眠時ブラキシズム群3名、コントロール群3 名)を選定してiPS細胞から神経細胞を分化誘導した。睡眠時ブラキシズム患者由来の神経細胞と、コントロール群由来の神経細胞からそれぞれ神経細胞を分化誘導し、ホールセルパッチクランプを行った。まずコントロール由来のiPS細胞を用いて, 接着培養後31-111日における受動的パラメーター(静止膜電位, 膜抵抗, 時定数, 膜容量)を記録したところ, 一般的なニューロンの成熟過程として報告されているものと同様の傾向を認めた. また患者由来iPS細胞とコントロール由来iPS細胞それぞれから誘導したニューロンについて各パラメーターを比較検討したところ, 活動電位の頻度は負荷電流50pA以上で有意に増加し, コントロール株の約2倍の上昇を示し, 活動電位半減時間は有意に短縮していた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的な電気生理学的性質の調査とまたそれらの患者-コントロール間での比較検討を実施済みであり, またターゲットを標識するためのレポーターレンチウイルスも作成済みであるため, 概ね順調であると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のターゲットである5-HT2A受容体を介した反応について, 患者-コントロール間で比較検討して患者に特異的な表現型を検出し, それらの成果について広く公表する予定である.
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により一部制限された中で研究活動を行なっていたこともあり, 次年度使用額が生じた. 今後は計画している機能解析に関連する試薬等の整備, また成果報告のため, 使用する予定である.
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