2017 Fiscal Year Research-status Report
ジルコニアと陶材間における結合様式と結合強度および新たな内部構造解析
Project/Area Number |
17K17194
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
小澤 誠 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 非常勤講師 (20610265)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジルコニア / 焼付界面 / 陶材 / EPMA |
Outline of Annual Research Achievements |
ジルコニアフレームに陶材を焼成した修復方法が審美修復を目的として臨床応用されている.しかし未だ陶材の破折や剥離が起こることがあり,この原因の一つは,ジルコニアと陶材の界面での結合が問題となっていると考えられる.そこで筆者らは,界面に化学的な結合があるとの知見を過去に報告した.本研究の目的は,ジルコニアと陶材間の化学結合状態を詳細に解析し,結合強さの向上と安定の得られる焼成条件を追求し,補綴装置製作時の新しい焼付方法を確立することである.そうすることで,長期安定性に優れた補綴装置の臨床応用を喚起することへ繋がると考える.過去の研究では,化学的な結合分析するためにEPMAによるによる元素分析を行った.その結果,ジルコニア側から陶材側への推移は認められなかったが,陶材に含まれる酸素のみがジルコニア側に偏位しており,化学結合の存在が示唆された.筆者らは,酸素の偏位幅が増加することで,化学結合の構造が変化し,さらには結合強さも強くなると想定している.また焼成前後の試料を画像データ化し,偏差カラーマップ等を作成することで視覚的な変化を評価することも行う予定である.本実験では,この焼成時の温度を変え元素分析の推移を調べることで,さらなる結合強さの向上と臨床的に安定した歯冠修復物の製作方法の確立は可能であると考えた.さらに接着せん断強さを調べることで,各焼成温度でいかに強固な結合を得ることができるかがわかり,ジルコニアと陶材の焼付機構の構造改変の一助となり得ると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本実験では,以前行った実験のサイズにて計画していたが,今回はさらに前実験に加え,接着強さをみるために曲げ試験を行う必要があった.そのため前回の試料サイズで実験は可能であったが,より接着強さの規格に準拠した試料サイズにて行う方が研究の信頼度が高いと判断し,試料サイズの変更を行った.そのため用意した試料ではなく,一から試料の作製に期間が必要となってしまった.また焼成前後の試料の画像化を行うためにSTLデータ化をする必要性があった.当初,マイクロCTにて形態学的な観察を行う予定であった.マイクロCTにてSTLデータ化することで,3Dソフト上で重ね合わせを行い,焼成前後の変形量や表面の変化を観察することを検討していた.しかし使用予定であった当大学施設のマイクロCTのトラブルにて使用が困難となり,マイクロCTを使用できるようにするために時間を必要としてしまった.実際に観察すると,試料のサイズ,硬さなどが影響しジルコニア試料の表面のハレーションが強く,精度のよい STLデータの取得が困難となってしまったため観察法の再検討が必要となった.他の方法として,歯科の技工用のスキャナーを使用することで試料のSTLデータ化が可能となった.今後は予定通り試料の焼成を開始し順次実験を遂行していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
現在試料の製作へ移行し,出来次第順次観察を行っていく予定である.陶材の焼成温度が高温の場合,陶材が溶け液だれが起こることがわかった.そのため焼成温度を50℃減少させ950℃より行うこととして進めていく.
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Causes of Carryover |
試料の製作に時間がかかり、観察費用等が実行できていないため。
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