2018 Fiscal Year Research-status Report
グラスファイバー強化型ノンメタルクラスプデンチャーに関する検証
Project/Area Number |
17K17196
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
徳江 藍 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (20712102)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ノンメタルクラスプデンチャー / グラスファイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
ノンメタルクラスプデンチャーは,厚生労働省により義歯床用材料として薬事承認を得たことにより,急速に普及されている.ノンメタルクラスプデンチャーとは,熱可塑性合成樹脂を射出成形し,金属製のクラスプを設置せずに樹脂の弾性を利用し義歯を維持させる部分床義歯のことをいう.各メーカーから様々な商品が提供されているが,熱可塑性合成樹脂は材料学的にポリアミド系,ポリカーボネート系,ポリエチレンテレフタレート系の主に3種類に分類される.従来の義歯床用材料であるPMMAと比較して,吸水,溶解が少なく,耐衝撃性,耐熱性,そして大きな弾性を有することを特徴としている.これらの特徴を利用し金属製のクラスプを使用しないことから審美性に優れているとされ,クラスプの代用として支台歯のアンダーカット内に義歯床の一部を延長したフィンガー部と呼ばれるところで維持力を得る.しかし,従来の義歯と比較して弾性率が高い合成樹脂材料で製作されているフィンガー部の破折が起こりやすく,臨床においてフィンガー部で破折を起こしている義歯を多く散見する.現在,修理法の確立など早急に解決しなくてはいけない様々な課題は多く挙げられているが,早期に破折を起こすことは高額な費用を払った患者にとって好ましくない状況である. そこで,高強度,高い剛性,電気絶縁性,引張強さを持つグラスファイバーを一緒に用いることでフィンガー部破折に対して補強したグラスファイバー強化型ノンメタルクラスプデンチャーを考えた.今回,3点曲げ試験の基礎的検証を行い,長期安定性を比較検討した.H30年度は,各熱可塑性合成樹脂の3点曲げ試験を行いグラスファイバーの設置方法について検証を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
熱可塑性樹脂とグラスファイバーとの接着強度や,グラスファイバーの有効な設置方法の確立が実験当初の予想よりも困難であるため.やや遅滞している.
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Strategy for Future Research Activity |
グラスファイバー強化型ノンメタルクラスプデンチャーの機械的性質を3点曲げ試験および疲労試験を行うことにより,従来のノンメタルクラスプデンチャー と比較検討することで有効性を評価する. 試験方法は,フィンガー部を想定した試料は,現在まで行った実験結果と比較を行うために幅10mm×厚さ2.5mm×長さ65mmとし,グラスファイバーを内部に埋入した試料と表面に露出させた試料を製作し比較する.またグラスファイバーの形態による比較検討を行う.また,クラスプ形態の試料を製作し,繰り返し着脱試験を行う.1000回ごとに維持力を計測し維持力の変化も同時に観察する.
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Causes of Carryover |
グラスファイバー強化型ノンメタルクラスプデンチャーの機械的性質を3点曲げ試験および疲労試験を行うことにより,従来のノンメタルクラスプデンチャーと比較検討することで有効性を評価を行っていたが,接着強度に関して,予想よりも実験結果が上手くいかず先に進む事が出来なかったため,予想していた予算を使用できなかった. 次年度は,前年度の反省をふまえて3点曲げ試験および疲労試験を行うことにより,従来のノンメタルクラスプデンチャーと比較検討することで有効性を評価する.
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