2017 Fiscal Year Research-status Report
大気圧プラズマ処理によるCAD/CAM用コンポジットレジンの接着強度の向上
Project/Area Number |
17K17197
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
朝倉 正紀 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (10727506)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大気圧プラズマ / 表面改質 / 濡れ性 / 接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
CAD/CAM用ハイブリッドレジンは,残留モノマーがなく重合度が高いため,接着が困難であることが問題となっている.そこで本研究では大気圧プラズマを用いて表面改質を行い,接着力を向上させることを目的として実験を遂行している. 被着材の濡れ性は接着力を左右する大きな因子であることが知られている.そこで,CAD/CAM用ハイブリッドレジンへの最適なプラズマ照射時間を決定するために,水への濡れ性を測定し評価を行った.当初,照射時間の制御を秒単位でのスイッチのON/OFFによって行っていたが,水の接触角による評価の結果,大きくバラつく結果となったため改善の必要があった.そこで,移動速度を自由に制御することが可能なロボット(アクチュエータ―)にプラズマの照射ノズルをセットし,照射ノズルの移動速度を変化させることにより照射時間の制御をした結果,そのバラつきはかなり小さくなり精度の高いデータを得ることが可能となった.照射1分後の濡れ性を評価した結果,プラズマ未照射群の接触角 (n=5) は58.4±0.9度であったのに対し,プラズマ照射群の接触角は各種照射ノズルの移動速度が50, 25および10 mm/sec において,それぞれ,30.8±0.6, 8.6±0.7および 6.7±0.6度を示し、5 mm/secの条件では測定限界値以下となった.しかし,5 mm/secの最も低速の条件においては,試料の照射した部分が白く変色しており,試料の変質が疑われる.従って,照射ノズルの移動速度は10~25 mm/sec が適切であると考えられる.さらに,表面改質効果の持続時間を評価するために,10 mm/sec の照射条件にて24時間後まで経時的に接触角を測定した.その結果,24時間後においても6.4±0.3度を示したことから,少なくとも24時間は効果が持続することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初に行った接触角試験や接着試験の結果が条件にかかわらず大きくバラつく結果となり,実験結果の信頼性が低いと判断した.このバラツキは実験方法の不備が起因していることが明らかとなったため,プラズマ照射時間の制御方法や接着試験用の試料の作製方法を改善する必要があった.このために時間を費やすことと成り,また,すべての実験をやり直す必要があったために予定より遅れが出た.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに,精度の高いデータを出すための実験方法を確立することが可能となったので、今後は被着材に各種の前処理条件(プラズマ照射条件,サンドブラスト処理の有無,各種プライマーの塗布)による,接着強さへの影響を評価する.また,これまでは被着材として1製品のCAD/CAM用ハイブリッドレジンみを使用していたが,その他の製品に対しての評価も行う.さらに,プラズマ照射による試料表面の化学的な変化について分析を行う予定である.
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Causes of Carryover |
理由:前述のように実験方法を改善する必要性が生じ,実験に遅れが生じたため. 使用計画:平成30年度に消耗品の購入費として使用する.
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