2018 Fiscal Year Annual Research Report
乳歯歯髄幹細胞培養上清を用いた放射線性唾液腺障害治療への応用
Project/Area Number |
17K17210
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
緒方 謙一 九州大学, 大学病院, 医員 (30778858)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 幹細胞培養上清 / 歯髄幹細胞 / 抗炎症作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
幹細胞培養上清(CM)としてヒト骨髄由来間葉系幹細胞培養上清(BMMSC-CM)およびヒト歯髄幹細胞培養上清(DPSC-CM)の2種類を用意した。37℃・5%CO2で培養後、80%コンフルエントの状態で培地を無血清DMEMに交換した。48時間後培養上清を回収し、死細胞等を除去するため遠心分離して0.22 μmのフィルターを通して使用した。これら2種のCMをサイトカインアッセイにより網羅的解析を行った。次に、ヒト末梢血単球細胞をヒトT細胞増殖因子であるphytohemagglutinin (PHA)での刺激条件の下、1週間培養した。その後、2日間無血清DMEM、BMMSC-CMおよびDPSC-CM存在下でそれぞれ培養し、活性化T細胞の割合を見るために、フローサイトメトリーにてCD3+CD25+CD69+活性化T細胞の割合を算出した。 サイトカインアッセイから、DPSC-CMはBMMSC-CMと比較すると、抗炎症作用のあるIL-10とIL-13が多く含まれていることがわかった。また、細胞増殖能、血管新生能を有するHepatocyte growth factorはDPSC-CMのみに分泌されていることがわかった。フローサイトメトリーにおいて、PHAで刺激したT細胞がDPSC-CMを加えることで、その割合が著明に低下することがわかった。 以上のことから、DPSC-CMには、BMSC-CMより免疫抑制、細胞増殖および血管新生に働く液性因子が多く含まれ、T細胞の活性化を抑える働きを持つことがわかった。今後は、in vivoにて唾液腺障害モデルマウスにDPSC-CMを投与(静注または局注)し、唾液腺の病理組織像や唾液量の変化などを評価して、DPSC-CMによる新規治療法の開発に繋げたい。
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