2017 Fiscal Year Research-status Report
サプリメント療法が機械研磨インプラント体の骨結合促進に与える影響
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17K17220
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
渡邊 丈紘 日本大学, 松戸歯学部, 助手(専任扱) (80759986)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インプラント / サプリメント / インプラント周囲炎 / 光機能化 / 機械研磨 |
Outline of Annual Research Achievements |
インプラント体の表面形状はオッセオインテグレーションの短期獲得の観点から滑面な機械研磨から粗面なエッチングブラスト処理等に進化してきた。しかしながら粗面な表面処理はオッセオインテグレーションを短期間で獲得することが可能であるが、細菌の付着がしやすいという傾向を持っている。そのため粗面な表面形状はインプラント周囲炎の危険因子の一つと考えられている。特にインプラント体埋入者が高齢化し様々な理由で自ら十分な口腔内清掃を行うことが不可能になった場合、インプラント周囲炎が顕在化する可能性が高いことからインプラント周囲炎に対する対策は必須である。 細菌が付着しにくい表面処理として滑面な機械研磨がある。しかしながら粗面な表面形状と比較してオッセオインテグレーションの獲得まで長期間必要とされる。つまり、インプラント周囲炎の予防とオッセオインテグレーションの獲得効率は相反するものとなり、表面形状の観点からのアプローチでは限界がある。従って、局所的アプローチである表面処理に頼らない方法でオッセオインテグレーションを促進させる事が必要と考える。これまでに申請者は全身的アプローチとしてサプリメント療法に着目し,SBM 経口摂取がオッセオインテグレーションの短期獲得に寄与することを明らかにした。評価項目の中でも特記すべき結果はインプラント体の安定性に深く関わる引き抜き強度がサプリメント療法により大きく改善されたことである。 今回の研究では SBM を経口摂取させることでインプラント周囲炎に罹患しにくい滑面な機械研磨の表面処理をしたインプラント体を埋入したラットのオッセオインテグレーション獲得に寄与できるか検討を行い、さらにブラスト処理したインプラント体を埋入したラットのオッセオインテグレーションの獲得期間と比較検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成 29 年度は動物実験を行った。実験動物は 7 週齢雌性 Wister 系骨粗鬆症モデルラットを使用した。実験動物の群分けは普通食を与え光機能化をしない NN 群、普通食を与え光機能化をした NV 群、SBM 配合食を与え光機能化をしない SN 群および SBM 配合食を与え光機能化をした SV 群に分類した。 実験の結果は BMD および BMD color imaging から SV 群は他の群と比較してインプラント体周囲に有意に高い BMD を示した.この結果は SV 群は他の群よりインプラント体を支える骨が多く存在することを示し.そのため引き抜き試験においても SV 群は高い値を示したと考えられる.埋入 2 週間後の引き抜き試験において NV 群は SN 群と比較して有意に高い値を示した.この結果は光機能化によりインプラント体表面の濡れ性が向上し骨芽細胞を誘導したためだと考えられる.組織学的観察においても光機能化をした NV 群および SV 群では光機能化をしていない NN 群および SN 群と比べ埋入 2 週間後でインプラント体周囲に骨が形成されたことを示している.埋入 4 週間後の引き抜き試験において NV 群と SN 群は有意な差を示さなかった.この結果は SBM の効果が埋入 4 週間後で光機能化に追いついてきたことを示している.以上から 光機能化による局所的アプローチは初期の骨形成を促進させ,全身的アプローチである SBM は後期の骨形成を促進させることで相乗効果を得ることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成 29 年度の研究結果からは光機能化による局所的アプローチは初期の骨形成を促進させ,全身的アプローチである SBM は後期の骨形成を促進させることで相乗効果を得ることができることがわかった。平成 30 年度は骨代謝マーカーを用いることで各群における骨代謝の違いについて検討を行うことでさらに詳細な検討を行っていく予定である。さらに研究成果を報告するために学会発表および論文投稿の準備を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成 29 年度は動物実験を行い、予定していた実験は行うことができ一定の結果を得ることが出来た。しかし予定していた組織切片作製の委託には至らなかったため次年度の計画として繰り越した。
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Research Products
(2 results)