2018 Fiscal Year Research-status Report
ヒト組織幹細胞の分化誘導神経細胞を用いたパーキンソン病細胞移植療法の新たな展開
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17K17222
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
高橋 悠 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (90779802)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再生医療 / 体性幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病を対象として、歯科領域で採取可能なヒト組織幹細胞(頬脂肪体由来幹細胞および歯髄幹細胞)を細胞源とした新規の神経再生療法開発を行う。パーキンソン病は、中脳にある黒質のドパミン性神経が変性脱落するために線条体でドパミン不足をきたし、錐体外路性運動障害が出現する神経変性疾患であり、現在は薬物による対症療法が主な治療法である。そのため、根本的な治療法として細胞移植療法の検討が進められている。この細胞移植療法の細胞源として、さまざまな細胞が検討されているが、申請者は発生学的に神経堤由来の細胞が多いヒト頬脂肪体細胞および歯髄細胞を考えた。ヒト頬脂肪体由来幹細胞および歯髄幹細胞から分化誘導した神経系細胞の性質評価を行い、ドパミン性神経細胞を含んだ神経系細胞へ分化誘導されることが明らかとなった。また、頬脂肪体由来幹細胞より分化誘導した神経系細胞は、電子顕微鏡像にて神経細胞に特有の所見を示した。この神経系細胞を用いて、パーキンソンモデルラットの神経変性部に細胞移植実験を行ったところ、運動症状の改善を認めた。今後は、さらなる細胞性質評価や、症状改善の機序の検討を要する。成人から採取可能であるヒト頬脂肪体由来幹細胞やヒト歯髄幹細胞を用いた再生医療を開発することは、感染、免疫、倫理的に問題のない、自己細胞を用いた根本的治療が可能になる。また、HLA抗原ホモの人から頬脂肪体幹細胞や歯髄幹細胞より分化誘導した神経系細胞の臨床応用が可能になれば、パーキンソン病の根本的治療法として大きな意義をもつ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パーキンソン症状改善を認めたモデルラットの組織解析にやや時間がかかっている。また、頬脂肪体由来幹細胞だけでなく、歯髄幹細胞についても細胞源として利用を開始しているが、昨年同様に細胞の個体差による分化誘導の困難さがあり、性質評価に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
各幹細胞より神経系細胞への分化誘導を個体差なく行えるように検討を重ねる。ドパミン性神経細胞の分離については困難であるため、分離せずに細胞を用いて移植実験を繰り返し、移植細胞性質評価や症状改善の機序についての検討を行う。
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Causes of Carryover |
実験に遅れが生じていることから、必要物品の購入が次年度に引き継ぎになっている。次年度は、各幹細胞から同様の性質の神経系細胞へ分化誘導を行えるように繰り返し検討を行い、機能回復したモデルラットの解析を進めるため、必要試薬や器材の購入を計画している。
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