2017 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤関連顎骨壊死の積極的な治療法の開発-マウスによる検討
Project/Area Number |
17K17230
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 裕介 北海道大学, 大学病院, 医員 (80455675)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯学 / 薬剤関連顎骨壊死 |
Outline of Annual Research Achievements |
デノスマブの副作用である顎骨壊死は一旦発症すると重篤な症状を起こすが、治療法が確立していないため、基本的には症状の緩和と感染管理などの対処療法あるいは、腐骨および壊死骨掻爬などの外科的な処置が主体となっている。積極的な治療法あるいは予防法の確立は、MRONJ患者のQOLの向上につながることから、重要な課題である。そこで本研究は、治療法を確立するために、デノスマブによる顎骨壊死発症マウスを用いて、薬剤関連顎骨壊死の発症機序について検討した。 生後4週齢のC57BL/6J雌性マウスに全身麻酔管理下にて卵巣摘出手術を施行し、骨粗鬆症モデルマウスを作製した。卵巣摘出術4週後よりマウス抗中和RANKL抗体ならびに強力な骨髄抑制作用を有する抗癌剤であるメルファランの腹腔内投与(週1回)を開始し、その1週後に左上顎第1臼歯を抜去した。抜歯後も薬剤の投与を週1回継続し、抜歯4週後にマウスを安楽死させ、上顎骨、胸腺、脾臓、末梢血を採取した。 摘出した上顎骨はマイクロCTにて抜歯窩の観察を行った。マイクロCT撮影後、脱灰、パラフィン包埋し、脾臓と共に組織学的解析を行った。また、末梢血、胸腺細胞、脾臓細胞はフローサイトメトリーにて解析を行った。 各薬剤の単独投与群では、抜歯窩は正常に上皮で被覆されていたのに対して、同時投与群では、顎骨の露出を伴う抜歯窩の閉鎖不全が確認された。マイクロCTを用いた画像解析では抜歯窩には新生骨の添加が認められず、組織標本においても腐骨が形成されていた。また、胸腺が有意に萎縮と、胸腺髄質上皮中のAIRE陽性細胞が喪失していた。
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