2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a highly efficient culture method using floating cells
Project/Area Number |
17K17238
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米永 一理 東京大学, 医学部附属病院, 届出診療員 (60756774)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 浮遊細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はASC(Adipose derived stem cell)を研究対象とし、臨床応用のためのプロトコール作りの一環として、細胞接着変化を活用したより効率的なASCの培養方法を開発することを目的とした。検討項目は、1)細胞の至適な播種濃度検討、2)浮遊細胞の発生メカニズムの解明、3)浮遊細胞を用いた効率的な培養法の検討、4)より効率的な細胞の単離・抽出・培養法の開発とした。結果、1)では、軟骨細胞の細胞播種密度と同様な濃度での培養が至適と推測され、浮遊細胞の有用性が示唆された。2)では、フローサイトメータのDNA 量ヒストグラムから細胞周期の各パラメータを取り出し、解析を行い、浮遊細胞が発生するメカニズムを引き続き調査中である。3)では、浮遊細胞と接着細胞を回収し、細胞そのものの構造的変化がないか、発現している表面抗原に有意な違いないことが示唆された。4)では、浮遊細胞が、組織再生において有用性があり、安全であることが確認された。さらに、細胞接着性の減少が生体内での細胞増殖との関連があり、癌化等との関係性がないことが示唆された。われわれは、浮遊細胞も通常の培養細胞と増殖能や遺伝子発現、及び炎症や腫瘍マーカー等の所見に違いがない事を証明し、細胞培養時の浮遊細胞は接着細胞と同等に扱うことができることを示した。そして、この浮遊細胞を有効活用した培養法も確立した。この浮遊細胞の出現する機序として、1つは至適な播種濃度で培養を開始したとしても、すべての細胞が培養皿に接着するわけではないことによる。また、細胞増殖の細胞分裂時に一部浮遊細胞となるものがあることが考えられる。今後の、課題として、細胞周期と浮遊細胞発生のメカニズムなどがまだ解明できておらず、継続して検証を進めていく見込みである。
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