2022 Fiscal Year Research-status Report
局所麻酔薬による線維芽細胞での神経成長因子発現増加が創傷治癒過程に及ぼす影響
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17K17239
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
松村 朋香 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (40527066)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 局所麻酔薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究では局所麻酔薬であるリドカインが創傷治癒過程に及ぼす影響を調べてきた。線維芽細胞はサイトカインなどの影響で筋線維芽細胞に分化する。これが創傷治癒過程において重要な役割を果たす一方で、過剰な働きにより組織の線維化を引き起こし、瘢痕を形成することが知られている。 一般的にリドカインはNaチャネルブロッカーとして神経伝達を阻害することから局所麻酔薬として使用されているが、Gタンパク質にも作用し、様々な効果を及ぼす。過去の報告ではリドカインが線維芽細胞に用量依存的に細胞増殖抑制および高濃度投与でアポトーシスを起こすことが示されている。 本研究ではヒト培養線維芽細胞(NHDF)にTGF-βを投与して分化させた筋線維芽細胞に様々な濃度のリドカインを投与し、細胞における変化を調べた。 今までの結果では、1mg/mlリドカイン投与により筋線維芽細胞において細胞増殖が抑制され、さらに投与3日後にアポトーシスを誘導されることを明らかにした。この筋線維芽細胞に対するリドカインの作用は用量依存的であった。リドカインによる筋線維芽細胞の働きを抑制効果についてさらに詳細を調べていくことで、周術期疼痛管理と並行した良好な創傷治癒が望めるほか、リドカインによる線維症治療のストラテジーを立てていくことが可能となると思われる。 2022年度は産休および育休を1年間取得したため、研究を中断した。2023年4月に復帰し、研究を再開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
産休取得に伴う研究中断のため、研究進捗状況は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度から研究再開をしている。これまでに局所麻酔薬が線維芽細胞および筋線維芽細胞に及ぼす効果について研究を進めてきた。線維芽細胞が局所麻酔薬によって引き起こされるアポトーシスおよび細胞増殖抑制はPKA PKCが関与しており、筋線維芽細胞でも同様の経路によるものかを探索し、局所麻酔薬による線維化抑制の可能性について調べていく予定である。
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Causes of Carryover |
2022年3月17日から2023年3月31日まで産休育休を取得したため、研究中断した。
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