2017 Fiscal Year Research-status Report
The effect of female hormone on neuropathic pain and the elucidation of its control mechanism
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17K17246
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Research Institution | Osama Woman's and Children's Hospital |
Principal Investigator |
山形 和彰 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), その他部局等, 麻酔科・非常勤 (40784195)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エストロゲン / 神経障害性疼痛 / P2X4受容体 / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、神経障害性疼痛に対するエストロゲンの影響と神経障害性疼痛発症に重要な役割を担うミクログリアのエストロゲン作用部位を明らかにすることである。 2017年度の研究計画として、動物モデルを作成し、行動学実験を行うこと、ミクログリアとP2X4受容体発現動態を免疫染色とウエスタンブロッティングで解析することを予定していた。 当該年度は動物モデルの作成と行動学実験を主に行った。動物モデルは卵巣摘出(OVX)したラットの三叉神経を障害することで作成した。三叉神経領域の神経障害性疼痛モデルには、眼窩下神経の一側を全て絞扼する方法や部分的に絞扼する方法、下歯槽神経を切断する方法が確立されている。しかしながら、各モデルの特徴や使い分けに関してはコンセンサスが得られていない。本研究では、予備実験として3つのモデルを作成・比較検討し、手技が簡便で発症率が最も高かった眼窩下神経を全て絞扼するモデルを採用することとした。行動学実験は神経障害性疼痛を発症したラットに高用量(HE群)または低用量(LE群)のエストロゲンを2日間連続皮下投与し、プラスチックフィラメントによる触刺激からの逃避閾値を観察した。この結果、HE群がLE群に比べ、逃避閾値が有意に低かった。このことからエストロゲンは神経障害性疼痛を増悪させることが示唆された。現在、三叉神経脊髄路核尾側亜核部でエストロゲンがミクログリア細胞とその膜上に存在するP2X4受容体の発現動態に及ぼす影響を検討するため免疫組織化学染色を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
神経障害性疼痛モデルの発症率が当初予定したものより低かったことや免疫染色で用いる抗体の信頼性の確認、条件設定に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
顎顔面領域の神経障害性疼痛では三叉神経脊髄路核尾側亜核でのミクログリアの増殖とP2X4受容体の過剰発現が重要であることが明らかとなっている。今後はエストロゲンがミクログリアとP2X4受容体の発現量動態に及ぼす影響を免疫染色、 ウエスタンブロッティングにより検討する。 さらにミクログリアにはエストロゲン受容体αとβが発現しているが、神経障害性疼痛に対する影響がいずれの受容体を介して行われるかを検討する。エストロゲン受容体αとβの阻害薬を用い、行動実験による逃避閾値の観察や、免疫染色及びウエスタンブロッティングによるミクログリア細胞やP2X4受容体の発現動態の観察を行う。これによりミクログリアに対するエストロゲン作用部位を明らかにする。
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Causes of Carryover |
神経障害性疼痛モデルの発症率が予定したものより低かったことや免疫染色で用いる抗体の信頼性の確認、条件設定に時間を要し、当初の実験計画より遅れが生じたため。
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