2019 Fiscal Year Research-status Report
口腔扁平上皮癌に対するNF-κBを分子標的とした新規併用癌化学療法の開発
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17K17258
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
可児 耕一 徳島大学, 病院, 助教 (60709583)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 臨床腫瘍学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、抗癌剤docetaxelとビタミンEであるγ-tocotrienolの併用療法が、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株B88移植ヌードマウス腫瘍に対して抗腫瘍効果を示すことを明らかにしてきた。 docetaxelは癌細胞に対して抗腫瘍効果を示す一方で、転写因子NF-κBの活性化を誘導する。活性化されたNF-κBは、アポトーシスに抑制的に働くXIAPやSurvivinなどのタンパク発現を誘導し、結果として癌細胞の生存に有利に働く。この結果、docetaxel自身が抗腫瘍効果を減弱させているのではないかと考えている。NF-κBの活性化を抑制するγ-tocotrienolとdocetaxelとを併用することにより、NF-κBの活性化を抑制し、アポトーシス抑制タンパクの発現を抑制する結果、抗腫瘍効果が増強されることをこれまでに確認した。 今回、γ-tocotrienolを投与するタイミングを変えることで、より効果的にNF-κBの活性化を抑制できるかの検討を行うこととした。すなわち、docetaxel先行投与群、γ-tocotrienol先行投与群の2群に分け、細胞増殖に与える影響、NF-κB p65の発現、アポトーシス抑制タンパクの発現について比較検討する。 細胞増殖への影響については、γ-tocotrienol先行投与群の方がより癌細胞の増殖を抑制する結果となった。γ-tocotrienolの先行投与はNF-κBの活性化をより効果的に抑制する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画に従い、研究データの取得および解析を進めている。 docetaxel先行投与群、γ-tocotrienol先行投与群の2群を用いて、これまでは細胞増殖に与える影響に関して研究データの収集を行ってきた。今後、NF-κB p65の発現やアポトーシス抑制タンパクの発現について検討を行いたいと考えている。 またB88細胞以外の他の細胞株を用いた研究も進めたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔癌細胞株B88細胞を用いて、docetaxelとγ-tocotrienol併用投与による、癌細胞をアポトーシスに誘導するメカニズムに関して引き続き研究したいと考えている。 また他の細胞株に関しても、研究を行う環境を整えたいと考えている。 さらに、研究によって得られた成果に関して、積極的に学会発表、論文発表を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究に要する消耗品等の購入が想定よりも少なかったため、次年度使用が生じた。次年度は、次年度請求額とあわせて細胞培養のための消耗品、薬剤購入を考えている。
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Research Products
(1 results)