2017 Fiscal Year Research-status Report
口腔多発癌の変異細胞不均一性とエピジェネティック異常の検討
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17K17260
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今城 育美 九州大学, 大学病院, その他 (40636552)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 口腔多発腫瘍 / Field cancerization / 予測因子 / 粘膜病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は口腔多発腫瘍の臨床検体を用いて、Field cancerizationの発症機構の解析および2次癌発症の予防、早期診断、治療戦略の確立を目指している。基礎研究に先駆け、口腔多発腫瘍の臨床的特徴を臨床病理学的に調査した。 1983年からの35年間に当科を受診し、SCCと診断した685名のうち二次原発腫瘍を認めた患者は70名であった。初発腫瘍から3年以上経過、もしくは15mm以上離れた部位に新たな腫瘍が発生したものを多発腫瘍群とし、同側同一臓器に腫瘍発生した患者を同部位群、対側または他臓器に腫瘍発生した患者を他部位群、また原発腫瘍の切除断端は陰性であるものと定義し、対照を単発腫瘍群として、後ろ向きに検討を行った。 同部位群では全102腫瘍発生し、腫瘍発生インターバルの平均は5.7年。他部位群では全158腫瘍発生し、腫瘍発生インターバルの平均は3.7年であった。最長、42年後に腫瘍発生していた。 腫瘍の発生部位について、他部位群では統計学的に舌が少なく、歯肉、頬粘膜に多いことが分かった。初発腫瘍のTNM分類について、同部位群でearly stageが有意に多いことがわかった。多発腫瘍群では白板症や扁平苔癬様の粘膜病変が有意に多く、粘膜病変が多発癌発症のリスク因子であることが示唆された。放射線化学療法の歴について、3群間に統計学的な有意差は認められず、放射線化学療法は多発癌発症に寄与しないことが示唆された。全生存率では3群間に統計学的な有意差は認められないが、疾患特異的生存率では5年を超えると、他部位群は他の2群と比較して生存率が低くなり、長期予後が悪いことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対照症例数が膨大で、臨床データの収集に時間を費やした。特殊染色に関しても症例数が多く、予定より時間を費やす可能性がある。 前年度で明らかにした口腔多発腫瘍群に関して、本年度で病理組織学的検討を進め、PatchおよびFieldの同定を行う。同定された部位から、レーザーマイクロダイセクションを用いてDNA抽出を行い、DNAメチル化の網羅的解析を行う予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の臨床データ収集から、多発腫瘍群でも部位による臨床病態が大きく異なることが分かった。同部位多発腫瘍群、他部位多発腫瘍群、単発腫瘍群の3群に関して、鏡検する症例をさらに絞って行う。
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Causes of Carryover |
臨床データ収集に時間を費やしたため、物品費や人件費が過少となった。次年度に繰り越してPatch、Fieldの同定、エピジェネティック異常の検討、クローナリティの検証を行う。
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