2017 Fiscal Year Research-status Report
T-box転写因子Brachyuryによる癌幹細胞形質の制御機構
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17K17263
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秋本 直柔 九州大学, 歯学研究院, 共同研究員 (20772940)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Brachyury / EMT / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで当分野において、培養ヒト腺様嚢胞癌細胞株ACCS-GFPをマウスの舌に接種し、そこから肺へ転移した細胞を抽出し、再度その細胞をマウスの舌に接種するといった手順を繰り返すことでin vivo selectionを行い、造腫瘍性・高転移性・癌幹細胞様細胞株ACCSM-GFPを樹立した。 ACCS-GFPとACCSM-GFPをPCRにて遺伝子発現解析したところ、ACCSM-GFPでより高発現していたBrachyuryに着目した。T-box転写因子であるBRACHYURYは、発生過程における中胚葉形成に必須の遺伝子であり 、ヒトの腫瘍細胞においてEMTを誘導することが他の文献より報告されている。 ACCSM-GFPに対してBrachyuryノックダウンすることによって、 ACCSM-GFPがもつ上皮間葉移行 (EMT) 形質、癌幹細胞形質が抑制されることを報告した。さらにBRACHYURYノックダウンがin vitroでの遊走能、浸潤能、抗癌剤抵抗性、放射線治療抵抗性、およびin vivoでの造腫瘍性、転移能を抑制することを明らかにしている。 これらの結果より、BRACHYURYが癌幹細胞の制御因子であり、癌治療の標的因子になり得ることが示唆されている。しかしBRACHYURYがどのようなメカニズムで癌幹細胞形質発現に寄与しているかは明らかにしていない。 そこで、培養ヒト口腔癌細胞株に対しBRACHYURYを強制発現することによって、BRACHYURYがどのようなメカニズムでEMTや癌幹細胞形質を発現させるのかという点と口腔癌においてBRACHYURYが広い範囲で治療標的因子として応用できるかという点を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養ヒト腺様嚢胞癌細胞株ACCS-GFPおよび培養ヒト扁平上皮癌細胞株TF-GFPに対してBRACHYURY導入細胞株を樹立することができた。樹立した細胞株を用いてPCRやin vitro assayを行うことによって、EMTや癌幹細胞形質の解析を行い、元の細胞株と比較して一定レベルの形質亢進を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
他に幹細胞を誘導する因子と言われているSox2やOct3/4などの強制発現も行い、BRACHYURY強制発現との比較を行う。また、これらの因子とBRACHYURYを共発現させることでEMTや癌幹細胞形質が相乗的に亢進されるかどうかについても検討を行う。
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Causes of Carryover |
タンパク質発現を解析するための抗体を購入予定である。
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