2017 Fiscal Year Research-status Report
スカベンジャー受容体"MARCO"に着目したIgG4関連疾患の発症機序の解明
Project/Area Number |
17K17265
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
太田 美穂 九州大学, 歯学研究院, 特別研究員 (20778857)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | IgG4関連疾患 / 自然免疫 / MARCO |
Outline of Annual Research Achievements |
IgG4関連疾患(IgG4-RD)の病態形成において、マクロファージ(MΦ)や樹状細胞(DC)等の自然免疫担当細胞の関与はいまだ明らかではない。 これまでにIgG4-RDの顎下腺を用いたDNAマイクロアレイの結果から、自然免疫関連遺伝子としてコラーゲン様構造マクロファージ受容体(MARCO)を抽出し、MΦ上にその発現を確認した。近年、自然免疫関連因子の中でも特にToll-like Receptor(TLR)を介した刺激が、IgG4産生に関与することが報告されている。そこで、MARCO以外にも、マイクロアレイの結果よりIgG4-RDにおいて発現上昇を認め、病態に関連し得る遺伝子候補として、このTLRファミリーについても検討を重ねてきた。TLRファミリーのうちMΦやDCに発現し、ウイルスや自己のRNAを認識して自然免疫に寄与することが知られているTLR8に関して、症例数を増やしさらなる組織検討を行ったところ、IgG4-RDにおいてはmRNA発現レベルでは有意差は認められなかった、一方で、唾液腺や涙腺などの外分泌腺が障害される臓器特異的自己免疫疾患であるシェーグレン症候群 (SS) で有意な発現亢進が認められた。さらに、TLR8発現細胞を同定するために、MΦのマーカーであるCD68とDCのマーカーである(CD123、CD11c)を用いて蛍光二重染色法を行ったところ、TLR8とCD68の発現がほぼ一致していた。 これまでの研究において、すでにIgG4-RDはSSとは異なる病態であることがわかっているが、自然免疫として関与するTLRも異なることが示唆された。今後はその他のTLRファミリーも含め、候補分子についてさらなる検討を行い、自然免疫に関連する疾患感受性遺伝子を同定する必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在のところ、MARCOの特異性の高い抗体および条件が定まっておらず、MARCOに関しては進捗状況としては遅れているものの、その他の病態関連遺伝子候補に関しては検討を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、MARCOのみならず、その他の病態関連遺伝子候補についても組織数を増やしてさらなる検討を行っていく。また、IgG4-RDにはアレルギーとの関連も示唆されているため、患者の臨床所見や血液サンプルを採取して、候補分子に関連するアレルゲンが存在するかどうかも合わせて検討したい。
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Causes of Carryover |
研究のデータ管理目的のため物品および解析ソフト(TissueFax)の購入を行う予定である。
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