2017 Fiscal Year Research-status Report
温度感受性TRPチャネルをターゲットとする新規口腔癌治療法の開発
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17K17266
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
合島 怜央奈 佐賀大学, 医学部, 助教 (30756143)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | TRPチャネル / 口腔癌 / 温度感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの発生や進展・転移過程に細胞内外のカルシウムが重要な役割を担う。TRP(transient receptor potential)チャネルは、その活性化により細胞の増殖・分化・細胞死など多様な生理応答を調節する高Ca2+透過性のイオンチャネルである。我々はこれまでに口腔扁平上皮癌に機能的な温度感受性TRPチャネルが発現することを見出している。近年、TRPチャネル活性化が、がんの悪性化に関与することが報告された。本研究では、TRPチャネル活性化による口腔扁平上皮癌の制御機構を明らかにし、本チャネルを標的とした新しい口腔癌治療法の開発を目指すことを目的とする。 平成29年度は口腔扁平上皮癌細胞株を用いたin vitro実験を行った。まずチャネル活性化や機能的ノックダウンが細胞の生存能や浸潤能に与える影響を調べた。TRPチャネルアゴニスト投与により一部の細胞株に選択的な細胞死を誘導することが分かった。またTRPチャネルの機能的ノックダウンにより細胞間接着分子の局在が変化し、遊走能が亢進した。選択的細胞死が誘導される細胞株では、アゴニスト刺激によりJNKやp38のリン酸化が増強し、細胞死を誘導しない細胞株ではこれら変化を示さなかった。さらに、化学療法との併用効果を検討する目的で既存の抗癌剤3剤を用い予備的研究を行い使用濃度を設定した。本併用効果に関しては平成30年度に検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画はおおよそ予定通りに遂行した。細胞株への細胞死誘導の効果が低い既存の抗癌剤もあり、追加で条件検討を行い実験をすすめていくこととする。大幅な予定の変更無く次年度の実験をすすめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の実験により細胞株によりTRPチャネルアゴニストの与える影響が異なることが分かった。H30年度は効果に影響を及ぼす因子の検索を行っていく。またin vitroにて既存の抗癌剤とTRPチャネルアゴニストの併用効果について検討する。さらにヒトサンプルを用いてTRPチャネルの発現解析を行い、がん発生過程に与える影響を検討していく。
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Research Products
(9 results)