2017 Fiscal Year Research-status Report
航空力学を応用した3次元ベクトル解析による静脈内鎮静法の至適鎮静レベルの解明
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17K17269
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
讃岐 拓郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40533881)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歯学 / 口腔外科 / 気道管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず上気道開通性と嚥下反射との関係性を明らかにすることに努めた。 持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway Pressure: CPAP)は、非侵襲的呼吸療法の1つで、主に睡眠時無呼吸症候群患者の治療法として広く使用されている。CPAP療法は上気道開通性を高めるため、静脈内鎮静法の呼吸療法としても有用であることがこれまで報告されている。しかしながら、CPAP療法により嚥下反射が抑制されることが報告されており、CPAP療法中は潜在的に誤嚥のリスクがあることが示唆されている。近年、嚥下に上気道の保湿や乾燥が関与するとの報告が多くなされている。CPAP療法は上気道の乾燥を惹起することが古くから指摘されている。そのため、CPAP療法による嚥下反射の抑制に上気道の乾燥が関与している可能性があるが、上気道開存を高めるCPAP療法による圧か、あるいは乾燥のいずれが嚥下反射を抑制するのかを明らかにする必要がある。 CPAP用鼻カニュラを健康成人ボランティアに装着したのち、筋電図電極をオトガイ下部に貼付した。Control (CPAP 0cmH2O、加湿なし)、CPAP(CPAP 10cmH2O、加温・加湿なし)、加温・加湿CPAP(CPAP 10cmH2O、加温・加湿あり)をランダムに与え、それぞれの状態で嚥下反射を誘発させた。嚥下反射は5mlの蒸留水を3秒かけて口腔内に投与し誘発させ、嚥下誘発潜時(蒸留水投与から嚥下反射による筋電図上のバーストが生じるまで)を測定した。 CPAPと加温・加湿CPAPの嚥下誘発潜時は、Controlと比較して、統計学的に有意に延長した(p<0.05)。しかしながら、CPAPと加温・加湿CPAPの間に統計学的に有意な差はみられなかった(p≧0.05) 。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はCPAP療法における嚥下反射抑制のメカニズムを上気道開通性(圧)によるものか、あるいは乾燥によるものか明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、上気道開存性と麻酔深度、嚥下反射のそれぞれの組み合わせで行う予定である。 それらの結果をもとに、解剖学的上気道の開通性、咽頭部の反応性、呼吸中枢不安定性に対する覚醒閾値を、航空力学で用いる3次元ベクトル解析で評価し、唾液嚥下反射時間に対する唾液嚥下閾値を評価して、両方の機能がどのように変化するかを検討する。
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Causes of Carryover |
11331円の未使用が発生したが、これは経費節減に努めた結果であり、概ね予定通りに使用している。来年度の物品購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)