2017 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌の細胞外環境応答性エピゲノム解析に基づく新規診断法とエピゲノム治療法の創出
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17K17274
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中元 雅史 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (90779175)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ANGPTL4 / エピジェネティクス / 細胞外環境応答 / HIF1α / CTCF |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、ANGPTL4遺伝子がOSCC(Oral squamous cell carcinoma)細胞株でも低酸素誘導因子であるHIF1αの下流の遺伝子であることを定量的RT-PCR法にて確認した。またその時のANGPTL4のタンパク質量に関しても転写量と相関関係にあるのかをウエスタンブロッティング法を用いて調べる予定にしている。一般的にANGPTL4タンパク質のC末端が転移に関与しているという報告があるが、適当なC末端領域を認識する抗体を現在検索中である。細胞外の微小環境から誘導される転写因子の役割は欠かせないが、DNAに結合した転写因子が実際に転写に働きかけるためには転写因子が結合するだけでは不十分で、EnhancerとPromoterの相互作用が必要である。CCCTC-binding factor(CTCF)は転写調節、およびEnhancerとPromoterといった転写制御エレメントが相互作用するための高次クロマチン形成を制御する重要な因子である。このCTCFの結合モチーフがANGPTL4遺伝子座には複数個存在しており、その転写制御に何らかの働きを行っている可能性が考えられる。申請者は、HIF1αとCTCFのそれぞれの結合モチーフをもとに、ANGPTL4遺伝子座における結合が予想される部位を同定しており、今後クロマチン免疫沈降-定量的PCR(ChIP-qPCR)法にて両者の結合部位を同定することを予定しているが、現在プライマーを設計中であり、今後通常酸素環境下と低酸素環境下それぞれで培養したOSCC細胞株でのHIF1αとCTCFの結合の変化および関係性について調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験が良質な抗体がないと進められないこともあり、抗ANGPTL4抗体を含めて、適当な抗体の選別に時間がかかっていることからやや遅れている。しかしながら、現在のところは想定の範囲内で研究を進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
ANGPTL4タンパク質の定量をウエスタンブロッティング法を用いて調べる。低酸素環境化でのANGPTL4遺伝子の発現上昇がタンパク質レベルでも確認した後に、転写制御因子として関与していると思われるHIF1αおよびCTCFのANGPTL4遺伝子座における結合をChIPーqPCR(クロマチン免疫沈降ー定量的PCR)法にて確認する。その後に転写活性のマークであるヒストンH3リジン4のモノメチル化(H3K4me1)、ヒストンH3リジン27のアセチル化(H3K27Ac)の状態をChIP-qPCR(クロマチン免疫沈降-定量的PCR)法にて確認する。ここまで確認してCTCFを介したクロマチン高次構造の変化が予想されるようであれば、CTCF結合部位周囲特異的な制限酵素で切断し、ライゲーション後の相互作用の頻度を検出する3C(Chromosome conformation capture)法を行う。また、選択的治療標的の可能性を探るための低酸素環境下でHIF1αとともに誘導される共益因子の探索目的のengineered DNA-binding molecule-mediated chromatin immunoprecipitatio & Mass spectrometory法(enChIP-MS法)については、行いたいと考えている。その他、組織検体を用いた解析については生検時の検体を用いて行う予定であるが、サンプル量に限りがあるために、術後検体などの別の検体での解析を検討する必要があるかと考えている。
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Causes of Carryover |
消耗品の納入が年度末に間に合わなかったことと、次年度の解析費用のために繰り越したため。
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